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2026年7月21日火曜日

「シビル・ウォーアメリカ最後の日」:アレックス・ガーランド監督作品
連日ネイションズリーグ・バレーボールを観ていて
録画して置いたやつを昨夜、やっと観たのだが
想像していた”ホワイトハウス・ダウン”の様な作品かと思いきや
近未来と言っても今の米国の状態を思うと
すぐ起こっても不思議はない米国本土の内戦の話だった。

大統領が法律を変えて3期目に突入し・・・
もう、これだけで今のトランプがやりそうだが
それに叛旗を翻した19の州が反政府軍を組織し
アメリカは南北戦争以来の内戦が始まる。
それを記録しようとする女性カメラマンを主人公に
その車を運転するボーイフレンドと彼女の先輩でもある老記者と
無理やり彼女に憧れて車に同乗してきた少女との4人が
ニューヨークから首都ワシントンDCまで行く”ロードムービー”

その道中で彼らが観たものは想像以上に悲惨なアメリカ。
殺し合う人々はウクライナやイラクを思わせる戦場。
ガソリンスタンドの奥にリンチされ吊るされた略奪者
長閑な牧場には大量虐殺された死人の穴と
目を覆いたいほどの情景が続く・・・。
途中、主人公の先輩老記者が殺され
彼らは3人で軍用ヘリが飛び交う空軍基地へようやく辿り着く
(此れを米軍の協力なしに、どうやって撮ったのか)
製作は英国と成っている。
CGとミニチュアを使ったとしても、驚異的な映像だ。
ワシントンDCへ辿り着いた3人は目的である
大統領へのインタビューを前に
反政府軍によりホワイトハウスが崩落寸前・・・

連日のハラハラする”ネイションズ・リーグ”に
今夜こそは血圧が上がらない様にと観た映画がとんでも無い展開。

先に殺される巨漢の老記者、
そして主人公や少女のキャステイング
”イージーライダー”の大陸を思わせる音楽。
戦場と思えない美しい映像のカメラ。
何より此の映画、脚本&演出が上手い。
これに金を出すプロデューサーも偉い。

それにしてもリアルな内容で何時アメリカが
こう成っても不思議はない!

メッセージは此方まで



2026年7月7日火曜日

マカロニ・ウエスタン総括
ハリウッドの大作70mm映画
(「ベン・ハー」「クレオパトラ」)が
イタリア・ロケで製作された。
それらに参加したのが助監督時代のセルジオ・レオーネ。
「バン・ハー」の戦車レース場面は俺が撮ったと言ってるそうな。
とにかくハリウッド映画作りのスケールを現場で体験していた。
そして恐らく残して行った、それらのセットや
美術、衣装の使い回しだったのだろう
スティーブ・リーブスという筋肉マン主演の
イタリア製・ローマ歴史物が沢山作られ、それも監督していた。
それらは”Sword &Sandal=劍とサンダル”映画
というジャンル名で呼ばれ、そこそこ人気が有った。
まあ、ハリウッドより近いというか、ロケはローマで現場だし
役者も本物のイタリア人で人件費も安かった。
しかし、それらも連作すると飽きられたので、
「よし次は西部劇だ!」とプロデューサーが考えたか?
今度は西部劇をイタリア製を隠して米国製として公開した。

映画の基本、シナリオを日本の黒澤明の「用心棒」から盗作
(此れは後に訴えた日本側に版権を払ったらしい)
此の映画が当時、若い監督レオーネの大胆な演出と
作曲家エンニオ・モリコーネの才能も有って
リメイクとは思えない面白い作品と成り世界中で大ヒット!
では、それに続けと後から後へと製作され
とにかくマカロニ・ウエスタン
1965~70年にかけて、たった5年の間に
総数約500本も作られたのである。

役者はイーストウッドを度々米国から呼んでは
高くつくので何とか国産?で間に合わせようと
ジュリアーノ・ジェンマに
フランコ・ネロ、ジャン・マリアボロンテそしてフランスから
ジャン=ルイ・トランティニアン
そしてドイツからクラウス・キンスキー
果ては遠い日本から仲代達矢まで呼び寄せ
(まあ、此れは元祖「用心棒」に敬意を表したか)
とにかく百花繚乱とマカロニは作り続けられたのである。

そして何故か”マカロニ”は、西部劇の背景に多いはずの
ユタ州やアリゾナ州のモニュメント・バレー・ロケが無い。
無いはずである、殆どがスペイン・マドリッド郊外の
西部劇用・映画村で撮られていたからである。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/stories/22/012100006/
(此処は今、日光江戸村の様な観光地に成っているらしい)

すべて人件費のコスト・パフォーマンスだったのだ。
だから当然「荒野の用心棒」以来スペイン人と同じ顔の
メキシコ人が出て、舞台もメキシコに成っていた訳だ。
悪役にスペイン俳優のフェルナンド・サンチョや
フェルナンド・レイが良く出ていたのも、その理由に因る
イタリア人、米国人、スペイン人入り乱れて
実にインターナショナルなロケ現場だったのだ。

しかし70年代に入ると流石に、その勢いは衰え
観客も似た様なストーリーに飽きて来て
客足が途絶えて、いつしか製作されなく成った。

此れ等の作品、本当の題名は、
「荒野の用心棒」A Fistful of Dollars「一握りのドルのために」
「夕陽のガンマン」For a Few Dollars More「もう数ドルのために」
「夕陽の用心棒」A Pistol for Ringo「リンゴの拳銃」等と
それぞれ凝ったものだったが
日本の配給会社がヤナギの下の泥鰌を狙って
東和は「用心棒」、ユナイトは「ガンマン」、
ヘラルドは「無頼」、松竹は「一匹狼」と
いつも紛らわしい安易な題名を付けたので観る方も
前に観たのか新作か判らなく成ってしまった。
それも衰退を早めた要因かも知れない。

それでも、それらの蒔いた種は日本の時代劇に
「木枯らし紋次郎」や「子連れ狼」を生み
音楽ではモリコーネのパクリの「必殺シリーズ」等
多くの影響を与えたのである。

もう1つ、アメリカ西部劇のコピーと云えば
フランス製ウエスタン
「太陽は傷だらけ」(1963) をあげたい。
ロジェ・ヴァディム作品に良く出ていた
奥く目のロベール・オッセン主演で、同じ俳優の
クリスチャン・マルカンがメガホンを撮ったもの。
フランスの荒野ならぬ、片田舎を舞台に
ハミ出し者のギャンブラーが、放浪する物語は
まさにマカロニ・ウエスタン”の先駆けだった。
フレンチだからオムレツ・ウエスタンか?
ヒロインのアヌーク・エーメが色っぽかった。

此の「太陽・・・」の設定
ギターを抱えた渡り鳥と云うと
日本の日活の小林旭に成ってしまうが
”渡り鳥シリーズ”は”マカロニ”より、ずっと前だ
(「ギターを持った渡り鳥」1959 ~「渡り鳥故郷に帰る」1962)
続けて宍戸錠・主演で「早撃ち野郎」(1961)なんかは
ジャック・パランスを真似た黒づくめの衣装。
私も少年の日、「シェーン」のアラン・ラッドが何秒、
ジャック・パランスが何秒と早撃ちのスピードを
覚えていたものだ。
東映では流石に西部劇に日本の風景は合わないと
オーストラリア・ロケで高倉健が「荒野の渡世人」(1968)
健さん、格好は良かったが如何にせん脚本に無理が。
何処の国でも、みんな西部劇ごっこは好きだったんだね。

そして此れは蛇足だが
もし黒澤明が一連のジョン・フォード作品を始め
アメリカ西部劇に憧れていなかったら
そのプロットを借りた「用心棒」は撮らなかったろう。
流石に”クロサワ”だから、外人にチョンマゲを結わせる様な
テンガロン・ハットは三船敏郎に被らせなかったが
ピストルにマフラーの仲代達矢は出した。
だから、もし黒澤明の「用心棒」が無かったら
セルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」はヒットしなかったし
”マカロニ・ウエスタン”も出てこなかったという事。

此れは私の仮想だが
もし勝新太郎と黒澤明が「影武者」で喧嘩していなければ
「座頭市」をアメリカに持ち込んで
西部劇「荒野の座頭市」として撮っていたかも?
いや、日本人と”転び伴天連”のハーフ「眠狂四郎」を
モンゴロイドの血が混じるキアヌ・リーブあたりで
西部劇「眠狂四郎、海を渡る」等のタイトルで
作っていたか?等
私の西部劇ごっこはキリが無い
の・・・というワケで”マカロニ・ウエスタン”の総括終わり。

(2018年1月11日の原稿を再出)





 

2026年6月28日日曜日

【松本清張スペシャル】
「Dの複合」(1993)

何方もかなり前にオンエアされたTVドラマだが未見だったので
松本清張の原作は過去の犯罪を隠すため再び罪を犯すという
パターンに、アリバイのトリックと言うパターンが多い。
*此の手の推理物の解説は当然”ネタバレ”だから
観てなかった人は、その覚悟で。
先の「Dの複合」は過去の犯罪を隠す為と言うヤツで
それを平幹二朗が演じたので、ほぼ”飢餓海峡”の三国連太郎的展開
それに主人公を、当時人気のあった野村宏伸が演じたので、
2人の間に津川雅彦といしだあゆみを入れて脚本・金子成人でも
話は広がらず詰まらない復讐劇作品と成った。



「留守宅の事件(1996)
その後、観た「留守宅の事件」は古谷一行と
内藤剛志という主役クラスのキャスティングに
余貴美子に祠口依子という芸達者な女優を噛ませているので
なかなか見応えがあった。
古谷一行は金田一耕助をシリーズやっているから、
自分が殺人犯と疑われても
地図を広げてアリバイ崩しをするのが自然と言うか
一方、自分の妻に保険金をかけて殺し、その罪を
古谷一行に着せる内藤剛志の演技が、その後彼が
”科捜研の女”などで”良い役”ばかりやっているから
私は騙された。
そんな事より、脚本の大野靖子は原作を離れ
殺された内藤剛志の妻・祠口依子と古谷一行に
”いとこ同士”の恋という関係という加えたのが巧みだ。
その後、古谷一行はTVで「失楽園」(1997)”も演じたからね。
祠口依子との此の作品が予行演習に成ったかも?
私もCMで古谷さんが同窓会で”マドンナ”と呼ばれた女性と再会
少し彼の心がよろめく設定を作ったな(笑)
此の犯人・内藤剛志のアリバイ崩しに
彼の妻・余貴美子が車を使って奔走し、結局それが功を奏して
無実は晴れたものの、”結局あなたの心には
いとこ(祠口依子)が居て、私は”留守番”だったのね”と
書き置きを残して家を出る妻・余貴美子の余韻が
松本清張の原作を超えていた。


 

2026年6月27日土曜日

エルヴェ・ヴィルシェーズ (1943~1993)
日本の漫才師に似た様な顔だが身長は119cmしか無い。
彼はフランス生まれながら
単身ニューヨークにに渡り、下積みで苦労しながら
俳優になるチャンスを待ち、「007黄金銃を持つ男」で、その願いが叶う。
ドラキュラ役で有名なクリストファー・リーの子分にして
殺し屋兼食事当番シェフ役
しかし黄金銃でボンドの命を狙う極悪人のリーを食う存在感を見せる。
監督ガイ・ハミルトンは
「ゴールド・フィンガー」の興行成績が良かったので
間に「サンダーボール作戦」「007は二度死ぬ」「女王陛下の007」は
有ったもののショーン・コネリーが降板した後、
ロジャー・ムーアのボンドで
「ダイヤモンドは永遠に」「死ぬのは奴らだ」と再度起用された。
此の作品も香港マカオにタイそしてラストはインドシナへと
舞台は目まぐるしく展開し観客を楽しませる。
1973年にヒットしたブルース・リーの「燃えよドラゴン』を
意識した格闘技シーンも出してサービスしている。
しかし此のエルヴェ・ヴィルシェーズを子供の様な”可愛さ”と”不気味さ”を
併せ持つ悪役として登場させたのが此の作品を成功させた理由だろう。
此のシリーズには日系ハロルド坂田や巨人症リチャード・キールと
悪役ながらも笑いを誘うキャラクターが多く出ている。
彼は此の後、人気が出て様々な映画やTVドラマに使われるも
心を病んで50歳で遺書を残し自ら命を絶った

2026年6月24日水曜日

「アウトバーン」(2016) :エラン・クリーヴィー監督作品
此の映画の原題は”Collide=衝突する”
邦題は”アウトバーン”とヒットラーが造った高速道路の事
そこを舞台に繰り広げられるカーチェイス・アクション映画であるが
しかし衝突するのは車の事だけでは無い。
下の写真の通りドイツの裏社会を牛耳る麻薬組織のボス2人の衝突でもある。
演じているのが、どちらも英国女王から”サー”の称号得ているオスカー俳優
左はサー・アンソニー・ホプキンス右はサー・ベン・キングスレー。
その息を呑む衝突はジャガー、ベンツ、ボルボ、シトロエン・・・と
高級車を高速道路で何台も壊すよりも迫力がある。
そう、脚本に現代社会裏の階級制度まで描いているからだ。
麻薬売買を通じて友情の様なものを感じていたヤクザのキングスレーに
上流階級のホプキンスは、お前は育ちも悪く下等な人間だと吐き離す。
此の前提があり
車泥棒でドイツに逃げて来た若者が恋人の難病の手術代に大金が必要になり
麻薬を積んだホプキンスの大型トラックを強奪すると言う
キングスレーの復讐でもある危険な仕事を請け負う。
しかし、流石ドイツの麻薬王、完璧な監視のもと強奪は見破られ
アウトバーンを舞台に無茶苦茶なカー・チェイスが続く。
一応、主人公はドライブテクニックの名人で車が壊されても
次々と乗り換え、車体がひっくり返ろうとも抜け出す。
それも人質に取られた恋人を救う為。
その健気(ケナゲ)な心が物語の中心にありエモーションは高まる。

※ここからネタバレだからラストは書かないでおこう。
とにかく此の映画名優2人の演技の責めぎ合いを観るだけでも価値あり。












2026年6月15日月曜日

「張り込み」(1958):野村芳太郎監督作品
此れまで何度も映画化された松本清張原作であるが
中でも名作の誉の高い作品。
何より毎日映画コンクール脚本賞を取った橋本忍が良い。
其れもその筈、寅さん以前に同じ清張原作の「霧の旗」を映画化した
助監督時代の山田洋次が脚本に参加している。

余談だが寺山修司は天井桟敷の団員に
一つの家族を徹底的に覗き、”表に見えない家族の秘密を報告せよ!”
という宿題を課したと言う。
まあ寺山当人は後日”覗き”の罪状で逮捕されニュースになった。

此の物語は拳銃を持った逃亡殺人犯を刑事が
東京駅から犯人の元恋人の居る佐賀県まで追いかけ
ç
その女の嫁ぎ先の家の、向かいの旅館から
”覗き”つまり張り込みをする展開。
それにぴったりのロケ場所が在ったものだと感心するが

主演は当時松竹のスター俳優・大木実。
後に東映のヤクザ映画では悪役ばかりさせられが
恐らく彼の俳優人生の中では最高な作品だろう。
流石のクロサワ組の脚本家・橋本忍に山田洋次
大木実にも恋人(高千穂ひずる)を設定
その人妻の張り込みに、彼の女性への想いが
徐々に変化してゆくのを描く。

そう何より此の作品は”女の映画”なのだ。
今は子供3人も居る銀行員の後妻に成っている逃亡犯の元恋人。
彼女の日常生活を向いの旅館から見張る刑事は
その静かな生活に逃亡犯の元恋人の影すら感じさせないが
しかし、その主婦が元恋人の前では、可愛く燃える女に変身
此の役を「二十四の瞳」以来、「乱れる」「名のなく貧しく美しく」と
ひたすら薄幸に耐える女性を
一手に引き受けた感のある高峰秀子が見事に演じた。
此の役は後に
中村玉緒、八千草薫、吉永小百合、大竹しのぶ、若村麻由美と
美貌と演技力を兼ね備えた女優が演じたが
此の高峰秀子を越えては居ない。

今では到底撮れない地方ロケの風景とエキストラに
モノクロながらダイナミックな画面構成に目を見張るばかり!
その贅沢さには圧倒される。



2026年6月14日日曜日

「凶賊」スペシャル(2006):井上昭監督作品
ほとんど鬼平シリーズはDVDに録っていた筈だが
見始めたら此れは1989年にオンエアされた作品のリメイクらしい。
オープリング・タイトルに私の贔屓・若村麻由美の名前も
「御家人斬九郎」の蔦吉を演る前だ。
冒頭に小林稔侍が扮する元盗賊・鷲原の久平の店で
彼女は夜鷹ながら鬼平に情けを掛けられる。
短い出番でも夜鷹という汚れ役に色っぽさをみせるのは
後に彼女をブレイクさせる西岡善信クルー達の思い入れか?
前作に此の夜鷹の役が無いのは恐らく脚本・吉田求の創作だろう。
とにかく自分の店に来た鬼平に惚れ込んだ小林稔侍が
元盗賊だから捕らえられるのを怯えながらも命をかけて鬼平に協力する話だ。
前作では米倉斉加年が演じた此の役を
不器用な小林稔侍が演るのはハードルが高かったと思うが
彼のフラ(それまでに演じた実直な役)が合っているので
何とか、こなさせたのは監督・井上昭の演出力だろう。
井上昭は後期・大映映画で5番手位の監督で
大映時代はコレと言った代表作は無い。
しかしTV映画に進出して、その才能が開花した。
私も此の”キネマ通り”で何度も取り上げた好きな監督だ。
先日亡くなった中村玉緒は彼の遺作のTVドラマに
"夫も私も、お世話になった監督だから”と特別出演していた。
話を鬼平に戻すが
スペシャル版ができる程、池波正太郎の此の原作は面白い。
鬼平が火付盗賊改方になる前の遊び人時代に成敗した
極悪人には息子(大杉漣)がいて
親の仇と巧妙に罠を仕掛け、鬼平の命を狙う話だ。
いつも縁側で密偵達の話を聞けだけのマンネリのシリーズに
スリリングな展開で中村吉右衛門の殺陣がたっぷり観られる。

そしてラストに冒頭の飲み屋が再び登場
”あのお侍さん、また来るかねえ?”の若村麻由美に
”来るよ、きっと”の小林稔侍の台詞は
久しぶりに私の心に染みた。

2026年6月9日火曜日

「暗戦デッドエンド」(1999):ジョニー・トウ監督脚本
香港映画の警察ものは、大体オトリ捜査と決まっていて
いささか飽きていたのだがコレは全然違う完全犯罪もので楽しめた。
主人公がガンで余命4週間と冒頭に医者から告げられる。
それで彼が最期の一仕事というか生きる目的と言うか
ある犯罪を企むストーリィー。
最近は立て篭もり犯に、警察が交渉人と言う
説得の上手い刑事を立てるが、それが此の映画では副主人公。
その2人の追う者、追われる者の間に”男の友情”が主題。
まあ香港映画と言えば”インファイナルアフェア”にしろ
概ね、そんなスジばかりだが・・・
犯人役の二枚目アンディ・ラウに交渉人の強面ラウ・チンワンの
バランスが絶妙で、話はスムーズに展開して行く。
主役のアンディ・ラウが変装の名人で色々化けるのだが
女に化けるのは少し無理かと。
それとギャングの親分に扮しているのはトニー・レオンじゃ無いかね?
それでも最後までスリリングなのは、やはり
余命いくばくも無く、血を吐きながらの行動が
観るものを惹きつける。
此れでアンディ・ラウは、その年の主演賞を取ったらしい。
敵にも味方にも、笑いを取るコメディリリーフを配し
暗い話に喜劇的要素をプラスしている監督脚本の
ジャニー・トウの演出力は大したものだ。

2026年5月26日火曜日

 

BS12 月曜夜8時【今宵は海外ミステリー】始まる!
「カササギ殺人事件」名探偵アティカス・ピュント
興味深いのは脚本がアンソニー・ホロヴィッツ
「名探偵ポアロ」や「警視正フォイル」も書いている
現代英国随一の推理小説作家でも有る。
先ずタイトルが素晴らしい! ポアロもそうだったが
どうして英国のそれは皆良いのだろう。
007のモーリス・ビンダーと言いハリウッド映画のそれとは違う
独特でモダンなデザイン感覚。
未だ第一回、話は見えて来ないが
推理作家に編集者、そして書かれた小説に登場する探偵。
此の探偵に扮しているのが私の贔屓の英国俳優ティム・マッカラン。
アンソニー・ホロヴィッツのドラマの常連
ちょっと出て来ただけで画面をさらう個性的な顔。
とうとうの主役の名探偵アティカス・ピュントを張るように成った。


2026年5月23日土曜日

「ハードボイルド新・男たちの挽歌」(1992):ジョン・ウー監督作品
アクション映画ファンには評価の高い
”香港ノワール”の家元ジョン・ウーが
此の作品を機にハリウッドに呼ばれた作品である。
主演は、此の監督を追いかけてハリウッド進出したチョウ・ユンファ。
以前の「男たち・・・」シリーズは
レスリー・チャンとのコンビだったが自殺しゃったので
「悲情城市」のトニー・レオンが、その代わりに。
話は例によって香港警察の”オトリ捜査”の刑事もので
変わり映えしないが、トニー・レオンのキャラクターが
先のレスリー・チャンと同じだからチョウ・ユンファと
”静”と”動”で相性は良い。
それにチョウ・ユンファがジャッキー・チェンを意識してか
かなり三枚目的な芝居をしている様に思える。
冒頭の撃ち合いシーンに、いきなり日本人俳優・國村隼が、
殺し屋役で登場、派手なパフォーマンスを見せる。
<ネタバレ注意>
どうやら此の映画の前に「ブラック・レイン」の國村隼を観た
監督ジョン・ウーのご指名だったらしい。
しかし出来れば、最後まで主人公を苦しめる悪役の方が良かった。
その悪役は、よしもとの”間寛平”にクリソツでカンフーが上手く
主人公も負けてしまうタフな奴で”悪の哲学”まで持っている。
クリソツなのは彼だけではなくて、その親分が関根勤似。
コイツも滅茶苦茶な悪(ワル)で、
”世界中に戦争のあるかぎり此の商売は儲かる”と
何と病院の地下に密輸出の銃火器を大量に隠している。
いざと成ったら彼は病院ごと爆破すれば良いと。
その通りにクライマックは大勢の病人たちを
人質にして立て篭もり、病院は爆破され修羅場と化す。
結局、人質にならなかったんじゃ無い。
監督は此れがやりたかったんだなと言うのが
デ・パルマが「アンタッチャブル」で使った
ロシア映画「戦艦ポチョムキン」の
"オデッサの階段シーン”
例の赤ん坊の乳母車が転げ落ちる場面。
ナント、爆破されて燃え盛る病院の5階辺りから
主人公が新生児達を抱えて飛び降りる・・・
此のあたりの監督ジョン・ウーのサスペンスの盛り上げ方というか、
インド映画みたいな劇画風と言うか
まさにカンフー映画の展開に呆れてしまった。

2026年5月11日月曜日

「ドラブル」(1974):ドン・シーゲル監督作品
あのクリント・イーストウッドの師匠で有り
その作品にほとんど失敗作の無いドン・シーゲルだから
録画して正座して観た。
果たして期待は裏切らず、やはり此の監督は天才だ!
話は良くある息子を人質に取られた現役の諜報部員が
誘拐犯に操られて身代金代わりのダイヤモンドを銀行から引き出し
ロンドンからパリと行ったり来たり。
題名の”黒い風車”では日本の客は呼べないから
誘拐犯の名前を取って”ドラブル”
トラブルっぽいからと、いー加減な配給会社(笑)
マイケル・ケインは日本では余り人気はないが
英国ではショーン・コネリー並みの人気で
「アルフィー」とか主演作も多い。
私が興味深いのは此の時期の米国映画の名脇役が
沢山出ている所。
先ずは、007の敵スペクターのボス”プロフェルド”が
当たり役のドナルド・プレザンス。
スキンヘッドでその目つきの鋭さは相手を震え上がらせる。
日本で言えば天本英世クラスかな?
そしてジョン・ヴァーノン
彼は此の時期売れていてリー・マービンのハードボイルド映画
「ポイント・ブランク」ではマフィアのボス役で
素っ裸にされて高層ビルから放り投げられた。
ドン・シーゲルには気に入られて
「ダーティハリー」や「突破口」にも出てきた。
あっ、そうそう悪役といえば女だけどデルフフィーヌ・セリック
彼女はアラン・レネ監督「去年マリエンバード」のヒロインだったね。
およそドン・シーゲル作品とはタイプの違うが”謎の女”として
キャスティングで遊んだんだろうね。
今回はネタバレしたら面白く無いから筋は書かないからね。




 

2026年5月7日木曜日

「ケーブルガイ」(1996) : ベン・スティラー監督作品
録画したものの主演のジム・キャリーの
あざとい芝居が私は好きで無いので
見るのを躊躇ったが共演しているのが
共演マシュー・ブレデリックはファンなので観てみたら
【ネタバレ注意】
題名通り”ケーブルガイ=配線屋”が主人公。
簡単にいうと子供の頃、親にTVを子守り代わりさせれた
ジム・キャリーがTVバラエティや映画を観過ぎて
”変な大人”になったという話。
だから映画マニアには嬉しい有名な映画のエピソードを
機関銃のように喋りまくるジム・キャリーが凄いのなんの。
それを聞くマシュー・ブレデリックはとても付いていけないが
恋人と別居したばかりで孤独だった彼は友達!友達!と
言われるまま遊び相手になり押し捲られ、あちこち連れ回される。

此れに安部公房の不条理劇「友達」を思い出すが
彼方は押しかけてきて部屋を乗っ取られる戯曲。
あっ、韓国映画「パラサイト半地下の家族」もそうだったな

始めはジム・キャリーの大袈裟な芝居はコメディとして楽しめるが
あまりの彼の強引さに、マシューが ”友達関係”を拒絶すると
態度が急変、凶暴化し彼の別居した彼女や
親戚にも押しかけ、展開は徐々にホラー化。
そうジム・キャリーは身長188cmも有り
マシュー・ブレデリックは体力的に太刀打ち出来ない。
「シャイニング」の斧を持ったジャック・ニコルソンに
追われるシェリー・デュバル状態。
ネッ面白いでしょ?まあ隠れた怪作映画だな。

2026年5月3日日曜日

「首」(2023):北野武監督作品
見逃していた此の映画を
アマゾン・プライム(400円)からパソコン・モニターでやっと観た。
NHKの大河ドラマ「豊臣兄弟」と同じ時代背景
だが、しかし其方とは丸で違うと言うか歴史の辻褄は合ってるものの、
NHKでは絶対オンエア出来ない題名通りの首を切り離す残酷シーンが
何度も出てくる。北野作品にデビュー以来サディステックな場面はつきものだが・・・
”ネタバレ注意”
信長が”男色”を好んだという噂を歴史上の事実として
森蘭丸だけではなく今で言うアフリカ系の小姓まで登場させている。
此の役を”アサイチ”のアフロヘアーのノッポ副島淳にやらせているのには驚いた。
驚くキャスティングは此れだけでは無くて
米国アカデミー賞の「ドライブマイカー」で人気絶頂の二枚目
西島秀俊が明智光秀役でTVドラマ「きのう何食べた?」と同じ様に
荒木村重役の遠藤憲一と濃厚なラブシーンまでさせておいて
織田信長を”ずっと貴方をお慕いしておりました”と口説くのだ。
もう戦国時代は男色の花盛りと言わんばかりである。
更に黒澤明へのオマージュかパロディかは知らないが
徳川家康の「影武者」が、殺されては”ハイ次ハイ次”と
何人も用意されているのが笑える
以前、勝新の”座頭市”のリメイクを撮った時は
全然笑えなかった彼らしいギャグも此の映画では完成度が高くなっている。
それもそのはず製作費は15億円!ともう"クロサワ映画”並みである。
北野武も巨匠になったものだ。
自分で書いた歴史小説をシナリオにして映画化、
主役の豊臣秀吉まで演じているのだから凄い。
でも猿というより太ったから狸の風貌。
此の作品は歴史上の人物が多数登場する集団劇であるが
それぞれの役をTVで馴染みのある岸部一徳や浅野忠信、
大森南朋、六平直政、小林薫、中村獅童、柴田理恵と
配置しているから話は分かり易い。
外国でも受けそうな”ニンジャ”や”ハラキリ”が沢山出て来るし
エンタメ度は可成高いが、それでも
コンプライアンス違反だらけでTV放映は先ず無理だな(笑)
ここまで書いて気が付いたが
此の映画、北野武が映画に入ったキッカケの作品
「戦場のメリー・クリスマス」「御法度」と大島渚の晩年のテーマが被る。
そんな事を思うと監督・北野武も此れでお終いかな?