2026年6月15日月曜日

「張り込み」(1958):野村芳太郎監督作品
此れまで何度も映画化された松本清張原作であるが
中でも名作の誉の高い作品。
何より毎日映画コンクール脚本賞を取った橋本忍が良い。
其れもその筈、寅さん以前に同じ清張原作の「霧の旗」を映画化した
助監督時代の山田洋次が脚本に参加している。

余談だが寺山修司は天井桟敷の団員に
一つの家族を徹底的に覗き、”表に見えない家族の秘密を報告せよ!”
という宿題を課したと言う。
まあ寺山当人は後日”覗き”の罪状で逮捕されニュースになった。

此の物語は拳銃を持った逃亡殺人犯を刑事が
東京駅から犯人の元恋人の居る佐賀県まで追いかけ
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その女の嫁ぎ先の家の、向かいの旅館から
”覗き”つまり張り込みをする展開。
それにぴったりのロケ場所が在ったものだと感心するが

主演は当時松竹のスター俳優・大木実。
後に東映のヤクザ映画では悪役ばかりさせられが
恐らく彼の俳優人生の中では最高な作品だろう。
流石のクロサワ組の脚本家・橋本忍に山田洋次
大木実にも恋人(高千穂ひずる)を設定
その人妻の張り込みに、彼の女性への想いが
徐々に変化してゆくのを描く。

そう何より此の作品は”女の映画”なのだ。
今は子供3人も居る銀行員の後妻に成っている逃亡犯の元恋人。
彼女の日常生活を向いの旅館から見張る刑事は
その静かな生活に逃亡犯の元恋人の影すら感じさせないが
しかし、その主婦が元恋人の前では、可愛く燃える女に変身
此の役を「二十四の瞳」以来、「乱れる」「名のなく貧しく美しく」と
ひたすら薄幸に耐える女性を
一手に引き受けた感のある高峰秀子が見事に演じた。
此の役は後に
中村玉緒、八千草薫、吉永小百合、大竹しのぶ、若村麻由美と
美貌と演技力を兼ね備えた女優が演じたが
此の高峰秀子を越えては居ない。

今では到底撮れない地方ロケの風景とエキストラに
モノクロながらダイナミックな画面構成に目を見張るばかり!
その贅沢さには圧倒される。



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