2026年6月14日日曜日

「凶賊」スペシャル(2006):井上昭監督作品
ほとんど鬼平シリーズはDVDに録っていた筈だが
見始めたら此れは1989年にオンエアされた作品のリメイクらしい。
オープリング・タイトルに私の贔屓・若村麻由美の名前も
「御家人斬九郎」の蔦吉を演る前だ。
冒頭に小林稔侍が扮する元盗賊・鷲原の久平の店で
彼女は夜鷹ながら鬼平に情けを掛けられる。
短い出番でも夜鷹という汚れ役に色っぽさをみせるのは
後に彼女をブレイクさせる西岡善信クルー達の思い入れか?
前作に此の夜鷹の役が無いのは恐らく脚本・吉田求の創作だろう。
とにかく自分の店に来た鬼平に惚れ込んだ小林稔侍が
元盗賊だから捕らえられるのを怯えながらも命をかけて鬼平に協力する話だ。
前作では米倉斉加年が演じた此の役を
不器用な小林稔侍が演るのはハードルが高かったと思うが
彼のフラ(それまでに演じた実直な役)が合っているので
何とか、こなさせたのは監督・井上昭の演出力だろう。
井上昭は後期・大映映画で5番手位の監督で
大映時代はコレと言った代表作は無い。
しかしTV映画に進出して、その才能が開花した。
私も此の”キネマ通り”で何度も取り上げた好きな監督だ。
先日亡くなった中村玉緒は彼の遺作のTVドラマに
"夫も私も、お世話になった監督だから”と特別出演していた。
話を鬼平に戻すが
スペシャル版ができる程、池波正太郎の此の原作は面白い。
鬼平が火付盗賊改方になる前の遊び人時代に成敗した
極悪人には息子(大杉漣)がいて
親の仇と巧妙に罠を仕掛け、鬼平の命を狙う話だ。
いつも縁側で密偵達の話を聞けだけのマンネリのシリーズに
スリリングな展開で中村吉右衛門の殺陣がたっぷり観られる。

そしてラストに冒頭の飲み屋が再び登場
”あのお侍さん、また来るかねえ?”の若村麻由美に
”来るよ、きっと”の小林稔侍の台詞は
久しぶりに私の心に染みた。

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