「愛と哀しみの旅路」(1990):アラン・パーカー監督作品
思えば此の監督に失敗作は無い。
デビュー作「ダウンタウン物語」以来「ミッドナイトエクスプレス」から
遺作となった「ライフ・オブ・デビット・ゲイル」こそ観ていないが
全て五つ星の作品ばかりである。
特に「ピンク・フロイドザ・ウォール」の映像化は
アルバムの世界を遥かに超えて
自らの少年時代から、現代のカリスマ・ロックスターへと
アラン・パーカーの歴史を描いた。
・・・と前置きはさて置いて此の作品であるが
太平洋戦争時の日系移民家族の過酷な体験を描いたものだ。
日本でも松山善三監督が「山河あり」(1962)で、その悲劇を取り上げ
またドキュメンタリー番組でも米国の彼らの虐待へ補償問題を
何度も取り上げていたが
流石のアラン・パーカー遥かに、その事実を深く掘り下げ
国際結婚をした1組のカップルの歴史を丁寧に追っている。
上映時間2時間13分と、だいたい彼の作品は全て長編だ。
そして映像が美しい!(カメラはコンビのマイケル・セレシン)
此の映画でも戦前のL Aの街並み、そして彼らが無理やり運ばれた
マンザナー強制収容所の完璧なセットの光と影に圧倒される。
そして完璧なのはキャステイング。
特に家族、今はもう居なくなった昔の日本人の顔(母親父親)
オーディションで選ばれたのだろうが
皆、子供たちの芝居が達者で泣ける。
此の監督は”ダウンタウン”以来”アンジェラの灰”と
子役の演出が上手なのだ。
ヒロインのタムリン・トミタの化粧、衣装は日本の古い写真で見たそれだ。
それと此の監督は音楽映画を得意とするから
戦後生まれの私も知らない歌謡曲や、米国のジャズを時代背景として
また戦前にヒットした「雨に咲く花」をメインテーマに使っている。