*マカロニ・ウエスタンに出演した日本人俳優*
「野獣暁に死す」(1968):トニーノ・チェルヴィ監督作品
イタリア版「荒野の用心棒」が世界的にヒットし
その本家「用心棒」で強烈な存在感を示した仲代達矢を
イタリアに呼んだのは、此の脚本を書いたダリオ・アルジェント
ホラー映画ファンなら、オヤ!と驚くだろう。
そう、クロサワの用心棒の魅力はミフネの敵役の魅力と
ダリオは抜擢したと思われる。
元々、日本人離れした堀の深い顔に、その鋭い目付きは
敢えて日本人の設定にしなくとも充分
まあイタリア語には吹き替えが付き
そう彼方の映画界はフランス人ドイツ人との交流が深く
吹き替えが当たり前なのだ。
仲代達矢も悪役に徹し、主人公を妻を殺し
盗賊団の首領で成り上がった極悪非道の男を
時代劇で鍛えた乗馬と剣を振り回し
、憎々しく期待に応えている。
既に日本映画では主役扱いで人間性も良く
書き込まれて居た頃だから此の役には
かなり抵抗が有った筈だが、亡くなった今はそれは知れない。
「5人の軍隊」(1969):ドン・テイラー監督作品
仲代達矢がイタリアに呼ばれた1年後、今度は
丹波哲郎にお呼びがかかった。
此も仕掛け人は「野獣暁に死す」と同じダリオ・アルジェント。
彼は”日本映画通”だったと見えて
「007は二度死ぬ」のタイガー田中役の彼を見過ごさなかった。
それにしても此の頃(1967~1979年)の丹波哲郎の活躍には
驚かされる。
”私は殆ど英語は喋れなかったんだがGHQで通訳をして居たんだ”
と嘯(うそぶ)く彼は此以前にも「太陽にかける橋」「第七の暁」
に出演、既に国際スターと成っていた。
しかしイタリア語を覚えるのが面倒だったか脚本で彼の役は
唖と言う設定で全編、無口で通し最後に、ひと言だけ喋るという
設定になって居た、
此の演出は珍しくハリウッドから呼ばれた米国人監督ドン・テイラー
彼が丹波に楽をさせまいと思ったかどうかは分からないが
イタリア語は喋らない代わりに、殆ど異常とも感じられる
執念さで走らせる、汽車を追いかけて走らせる、山を越えて走らせる
スタンドイン無しで此の役をこなした彼の体力も凄いが
此だけでも此の映画は観る価値がある。
そんな訳で、マカロニウエスタンに出た日本人俳優の影に
”サスペリア”のダリオ・アルジェントが居たと言う事。
そして彼はセルジオ・レオーネの「ウエスタン」の脚本に
ベルナルド・ベルトルッチとともに参加して居て
現在86歳、まだ生きてるらしい。