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2021年1月30日土曜日

 

"くさやの思い出

新宿の東口の端の方に、かなり昔だが

「五十鈴」という名前の居酒屋が在った。

明け方まで商売して居てゴールデン街からの飲み仲間と

終着駅の様に寄って居た。

お握りが大きく美味しいと評判で、コンビニなど無い時代だから、

新宿から登山に行く者たちが弁当として仕入れていた。

五十鈴とは良く名前をつけたもので全員50過ぎの梅干しババアばかり、

何を頼んでもハイハイと返事ばかりで出てくるのが遅くてまいった。

もっと参ったのはくさや

メニューにあるから誰かがそれを頼んだが最後、

店中に焼く臭いが充満し臭いのなんの。

そうなったらコチラも食べるしかないから、頼む。

そうすると益々店は、くさやの臭いだらけになり、

此処は馬小屋か?肥溜めか?状態。

それでも店のメニューから外れないのは

「実はアタシ、くさや大好きなのよ、ちょっと頂戴!」と

小娘の様な可愛い表情で手を伸ばす婆さん。

あの頃、彼女達は50過ぎの菅井きんか浦辺粂子だから

今は、おそらく誰も生きてはいまい・・・合掌。


2020年7月26日日曜日


 
出会いに別れは付きものと、
涙を堪えてサヨナラした人が居るように、
大好きだったのに何かの事情で閉めてしまった店がある。
そんな店へのオマージュ=想いを古い順に書き残したい。
栃木の屋台ラーメン
まずは私の故郷の栃木市に在った屋台のラーメン屋、名前は知らない。
日が暮れる頃に赤いランプの警察署の前の広場に店を出し、
夜中だけ営業していたその屋台に通ったのは
私が中学生から高校生の頃。受験の息抜きというか、
まあロクな勉強はしていなかったな。
何せ夢中だったのは映画館からポスターを盗む事。
自分の部屋は西部劇や史劇物で天井まで埋め尽くした。
「クレオパトラ」のポスターなんかはエリザベス テーラーを
レックス ハリソンとリチャード バートンが挟んだ巨大なビルボード用で
縦横3x5mも有ったんだから私は相当な凄腕だった訳よ。
おっと横道に逸れたが、話しを屋台に戻すと、
とにかく夏は蚊に喰われながらペダルを漕ぎ、
冬は手袋をして北風の中ハンドルを握って夜食に通ったものだ。
味は、今で言う喜多方いや佐野ラーメンに近いか?
平打ちの縮れ麺。叉焼も上手だったが何より覚えているのは
柚子の皮の切れ端が入っていた事だ。
此れは後で登場させる予定の浅草の蕎麦屋 大三にも共通するが、
どうやって柚子を一年中保存出来たのかは謎。
とにかくアッサリしたスープに潜んだ小さな柚子の皮は、
薄れゆく私の栃木の記憶の中、まだ微かに香っている。