2015年1月31日土曜日

新日本風土記「廃墟」
此の番組は、いつも録画しているのだが
全部は、とても観れないのでブルーレイに落としたままだ。
昨日放映した「廃墟」はタイトルに興味が有ったので
珍しくリアルタイムで観た。
廃墟と云えば、その昔ヨーロッパの庭園に廃墟ブームが
有ったくらいだから人間には
何処かに滅び行くものを愛おしむ心が有るのかも知れない。
昨日の此れは「新日本風土記」だが
新しい日本を見せる訳ではなく、皮肉にも
新しい日本に置き去りにされた建物を幾つか紹介していた。
兵庫の山の上の”真耶観光ホテル”
長崎の沖に浮かぶ”軍艦島”
群馬のダムに沈む”川原湯温泉街”
香川の”小与島の石切り場跡”
宮城の”化女沼レジャー・ランド”
岩手の”松尾硫黄鉱山アパート”
何れも現状は凄まじいばかりの荒廃である。
それらを次々と、そこに住む人
かって住んでいた人達のインタビューを交えて構成していた。
私が感じたのは、それらの施設が
無機的な建造物と云えども、そこには命があり
心臓が止まる様に、その場の営みが途切れると
見事に腐り、崩れ、朽ちてしまう事。
そして残された廃墟に共通して漂う無常観は
正に仏教で云う”色即是空”の世界。
どんなに人々が集い隆盛を極めた遊園地であろうが
今は錆びて大きな鉄屑と成った観覧車に
人の世の空しさを感じさせる。
此のドキュメンタリーが優れているのは
廃墟だけを風景として見せるのではなく
それに関わった人達を登場させ、過去の栄光と
未だに捨てきれぬ夢を語らせている処だ。
彼等も流石に今は歳を重ね(70〜80歳位か)
それらの廃墟と同じ様に肉体も衰えている。
明らかに制作者が、それを意図したと思われるが
彼等の老いた裸身が残酷な現実として
廃墟の映像と重なる。
それでも彼等老人達は何故か妙に明るい。
自分を人生の敗者と全く認めていないのだ。
そこには敗戦後の日本から
何度かのオイル・ショックにバブル崩壊
そして今度の震災に打ちのめされながらも
”まだ勝負は終わっていねえぜ!”と這い上がって来た
我々日本人の親や兄弟たちの底力を見た様な気がする。
悪役
列伝

(大映篇)
須賀不二男(1919~1998)
彼は兵庫県は淡路島の出身
早くは須賀不二夫の芸名で松竹の小津安二郎作品
「東京暮色」「彼岸花」に渋い脇役として出演
その後、大映に移ったが
小津作品には「秋日和」「秋刀魚の味」と松竹に呼び返されている。
移った大映では勝新太郎の「不知火検校」から
「悪名」シリーズと卑怯で憎たらしい名敵役として活躍した。
その確かな演技は東宝、東映と、どの映画会社からも
誘いがかかる存在で、TVドラマでも
”必殺””水戸黄門””大岡越前”と時代劇
”非情のライセンス””はぐれ刑事”と現代劇
ジャンルを問わず映画の上では”悪行”の限りを尽くしていた。
だから馴染みの勝新と監督・三隅研次に呼ばれた
TV「座頭市物語」 4話「縛られ観音ゆきずり旅」
蛇の様に座頭市付きまとう岡っ引きが
最後に犯人を見逃す良い役を演じた時は
その巧さに舌を巻いたものだ。
小津安二郎、三隅研次に愛された役者というだけで
凄いではないか?

ジャケットをクリック
 Mantovani Orchestra - Send In The Clowns
その昔はイージー・リスニング等というジャンルは
安い香水の様で毛嫌いしていたものだが
考え方を変えれば
現代音楽のマイケル・ナイマンや
ケルト音楽のエンヤの様な
Chill-Out=ヒーリング音楽と同類だと気が付いた。
そうなれば、マントバーニは大御所。
此の曲のアレンジなど何とも心癒され素晴らしい。
英国のイージー・リスニングといえば他にも
アッカー・ビルクというクラリネット奏者が
此の曲を演奏しているが
その柔らかい音色は懐かしいサーカスの世界だ。
此処に日本でもヒットした「白い渚のブルース」を始め
懐かしい沢山のカヴァーが48曲続く。

 ミルフィーユ風お好み焼き
一見ふつうの、お好み焼きに見えるが
豚バラ肉、焼そば、蠣を幾層にも重ねた豪華版。
お菓子のミルフィーユの様だ。
此れだけの厚い層を焼くには時間がかかるので
その間、茄子やピーマン等を
ホットプレートの脇で焼いて待つ。
それらは醤油に豆板醤のタレ。
お好み焼きの表面を焦がさない様にカリッとさせ
中まで火を通すのは難しいが昨夜は巧く行った。
焼酎のホッピー割りで此れ等を平らげ
その後、頂き物のキムチ焼海苔を食べ出したら
此れが、もの凄く辛くて更に焼酎が進んでしまった。



2015年1月30日金曜日

(大映篇)
成田三樹夫(1930〜1990)
以前、此処で俳優・南原宏治が
刑務官の子供で刑務所の中で生まれたと云う話をしたが
今日の成田は秋田、旭川、仙台の刑務所長を
歴任した偉い父を持つ俳優だ。
俳優座12期生の同期に”木枯らし紋次郎”の中村敦夫がいる。
大映と専属契約し、市川雷蔵と勝新太郎の
脇役として頭角を現した。
とにかくドスの効いた声と危ない顔つきは
敵役として主役を引き立てるのには充分な
素質を持っていた。
私の記憶に残るのは「座頭市地獄旅」のニヒルな浪人役
大の将棋好きで、座頭市と口だけの将棋をする
(座頭市は目が見えないからネ)
丁度、第一作目の「座頭市物語」の天知茂の様な役
何処か孤独な心が触れ合い一緒に旅をするが
此の浪人を仇と狙う兄妹が居て、そのしがらみで
結局、彼は座頭市と劍を交えることになる・・・。
監督は先日の「座頭市血笑旅」の三隅研次。
丁寧に張られた伏線に、此の成田の好演もあって
映画を最後まで魅せる。
大映が倒産した後も、成田は東映の深作欣二に呼ばれ
「仁義なき戦い」シリーズで様々な現代ヤクザに
生の人間性を投影させた。
怖いだけのヤクザでなく、どこか間の抜けた処を見せ
真実味を感じさせた。
他に眉を落としたズルい公家役に定評があり
彼は、それ以降の公家役の定番を作った。
TVの時代劇シリーズには必ず登場していたし
刑事ものや「ガードマン」のレギュラーとして
売れっ子であった。
何故、此れほどの名優が生涯、主役をやれなかったのか
私には不思議で成らない。

以前、東映時代劇の悪役の特集をしたが
大映にも彼を始めとして巧い敵役が
まだ沢山居たので少しづつ取り上げて行きたい。

 JAバンクで此んなものが当たった。
なりきり”ちょリス”
と云うんだそうだ。
さっそく付けてみたらコンナ感じ
温かいけど、ナンダカな〜。
ジャケットをクリック
Susan Boyle - Send In The Clowns
”天は二物を与えず”と云う諺が有り
スーザン・ボイルが人並みの美貌だったとしたら
此れほど有名に成っただろうか?
テレビが無い時代なら
英国に凄く歌の巧い女性が出現した!
だけで終わっていたろう。
米国のジャズ歌手のサラ・ヴォーンしかり
客観的に観て、なかなかのものである。
むしろビジュアルのマイナスが
ヴォーカルに上乗せされた感がある。
まあバーブラ・ストレイザンドの鼻は微妙かな?
何れにしても彼女達は美声という優れた才能を
天が与えたもうたという事は間違いない。


ハンバーグとナポリタンの2本立て
昨夜はハンバーグか?スパゲティにしようか?
迷ったあげく、両方作っちまった。
まず、すき焼の残りの焼き豆腐に鶏の挽肉を混ぜた
和風ハンバーグをサラダの上に載せ
生ハムの削りクズを玉葱とマッシュルームと炒め
塩胡椒とトマト・ケチャップを絡めた
ナポリタン・スパゲティ。
どちらも赤ワインに良く合った。

2015年1月29日木曜日

フィリップ・ノワレ(1930〜2006)
最近、此の俳優の映画が来ないなと思っていたら
だいぶ前に亡くなっていた。
彼を有名にしたのは「ニュー・シネマ・パラダイス」だが
ずっと、それ以前からフランス映画に無くては成らない名脇役だった。
最初に彼を観たのはルイ・マルの「地下鉄のザジ」
可愛い女の子に振り回される人の良いオジさん役が似合っていた。
その後、ハリウッド映画にも「将軍たちの夜」「トパーズ」と出演し
私の好きな「わんぱく戦争」の監督イブ・ロベールの
「ぐうたらバンザイ!」で何とも、ぐうたらな男を
彼の地とも思える様に演じた。
その豊満な身体を生かしてグルメ映画
「最後の晩餐」「料理長殿、ご用心」と、スリラー・コメディ
かと思えば、シリアスな
妻と娘を焼き殺したドイツ兵に復讐する医者を演じた
ロベール・アンリコの名作「追想」と
フランスを代表する俳優と成っていった。
先の「ニュー・シネマ・・・」で数々の男優主演賞をとり
国際的な評価も得てからも
パトリス・ルコントの「タンゴ」
イタリア映画「イル・ポスティーノ」と話題作に出演
「素顔の貴婦人」では「追想」に次いで
2度目のセザール賞を得ている。
此の作品、未見なので是非観てみたい。
彼のフィルモグフィーを作ろうとしたら1BOXに収まらないな。
だいぶ前に”キネマ通り”で取り上げた「追想」を再度添付。

ジャケットをクリック
Gheorghe Zamfir  - Send In The Clowns 
ゲオルグ・ザンフィルはルーマニアのパン・フルート奏者
上のジャケットの様な葦笛だけで世界中を魅了している。
独特な音色は”むせび泣く”と云った表現が相応しい。
”オカリナ”と同じ様に唇の感触が総てなので
人間の感情を出し易いのかも知れない。
此の楽器を叙情的に使った映画音楽に
エンニオ・モリコーネ作曲の
フランシス・レイ作曲の
「狼は天使の匂い」(此れはYouTubeに無い)
そして「キル・ビル」で使われた
“The Lonely Shepherd"等があるが
何れも”むせび泣いてる”ね〜。

サンマの丸干し
近所のNさんに頂いた地物の此れは
冬の宇佐美の御馳走だ。
コチコチに固いが焼くと柔らかく成り
独特の風味が有る。
保存が効くから何時でも食べられ重宝している。
大根おろしを付けるとサッパリする。

スーパーに在った北海道のシジミはアサリ位
大きくて、口が開いたら直ぐ火を止めると
身も柔らかく美味しい。
酸味の強い赤味噌が良く合う。

2015年1月28日水曜日

ジャケットをクリック
Grace Jones-Send In The Clowns
007の敵役で先に登場したばかりの彼女は
トップ・モデルからスタートして映画にも出演したが
歌でもカヴァー・センスが良くて
良いアルバムを沢山出している。
そしてフランスのアート・ディレクター
もはや彼女は歌手と云うより
ファッション・アイコン的存在だ。
彼女は更に進化を続け、もう此処まで行ってしまった。
”すき焼”
すき焼の番組を観て以来
昨日は朝から頭の中が、すき焼になってしまった。
火曜日が安売りの伊東のスーパーへチャリを飛ばし
白滝、焼き豆腐等の材料を揃える。
野菜が安く成っていたので
春菊だけでなく、お浸し用に、ほうれん草も買う。
まず昆布カツオだしで割り下を作り
すき焼専用の鍋で肉を焼く。
割り下を入れ、酒・醤油を加えて
(関西は砂糖をたっぷり入れるがウチはやらない)
白滝と肉の間に焼き豆腐でダムを設置する。
肉はレアが好みなので、とにかく忙しい。
熱々を生卵に絡めて頂く。
値段(1980円)の割に、まあまあの肉だった。

2015年1月27日火曜日

座頭市血笑旅(1964)三隅研次監督
大映のライバル市川雷蔵に水を開けられた
勝新太郎はイチかバチかの汚れ役「不知火検校」の成功で
自分の進むべき道を見いだした。
同じ盲目ながらヤクザというアウトローが主人公の
子母沢寛の短編を三隅研次監督と組んで映画化した「座頭市物語」は
モノクロ映画、低予算にも関わらず空前の大ヒット。
此のシリーズは大映のドル箱となり26本も続いた。
その中には出来不出来も有るが
シリーズの生みの親、監督・三隅研次が手がけたものは
今観ても驚くほど完成度が高い。

「座頭市物語」から8作目に当たる此の作品。
久しぶりに、元祖の監督・三隅がメガフォンを取り
ポスターにも有る様に赤ん坊を抱えた座頭市と云うのがミソ。
自分と間違えて殺された母親の子供に責任を感じ
何とか、その子の父親に送り届けようとする
座頭市の旅が、まさに”血笑旅”となる。
その道中は彼の命を狙うヤクザ達(石黒達也)に
スリ女(高千穂ひづる)が絡み
何と言っても片手に乳飲み子を抱えた座頭市が
ハンデを増やして、どう戦うか?が見もの。
まず賭場で、赤ん坊を向かいのスリ女に放り投げ
イカサマのサイコロを切って見破る処は
シリーズの”お約束”とは云え意表を突かれる。
そのスリ女が赤ん坊の世話をする内に
次第に座頭市に惚れて行く様を
高千穂ひづるが健気(けなげ)に演じて魅せる。
此の女優は私の子供の頃
東映時代劇の”お姫様”としか覚えていなかったが
当時の五社協定を破り、仕事を干されたが
それでも後に「張込み」「ゼロの焦点」と活躍した
実は演技派女優だったと云うのに気が付いた。
(確か”月光仮面””隠密剣士”の大瀬康一が夫だったはず)
カメラの牧浦地志が彼女を妖艶に撮って見事。
牧浦は名カメラマン宮川一夫の一番弟子。
勝新、三隅コンビは殆ど彼がカメラを回して
どの作品も師匠の宮川に負けず劣らずの
大胆なカメラアングルに隙の無い構図は
照明(山下礼二郎)美術(内藤昭)も含めて
如何に当時の大映の映像技術が優れて居たかと云う証拠
もっともっと評価されて良い人だ。

目が見えないから耳だけが頼りの座頭市の”弱み”に
つけ込んだアクション場面が毎回工夫されたが
8作目の此れでは、松明(たいまつ)の火攻め
燃えてはじける音と、燃え盛る火の熱さに
感覚を狂わされ、座頭市はパニックになる。
此のアイディアを考えたヤクザのズル賢さを
大映の悪役ではトップクラスの石黒達也が演じ
映画冒頭から座頭市に付きまとって死神の様で不気味。
悪役と云えば赤ん坊の父親役は金子信雄
子供に情が移り、手放せなくなっている座頭市に向かって
「そんなガキは俺は知らねえ」と、しらを切る
此の役者は後に東映「仁義なき戦い」シリーズで
裏の主役とも云うべき組長・山守義雄でブレークするが
此処でも血も涙も無い最低のヤクザ役がハマっている。
丁寧に練られた脚本(星川清司・吉田哲郎・松村正温)が
緻密でエオモーションは高められる。

しかし、此の作品が座頭市シリーズというより
日本映画の中でも希有なものと成っているのは
目の見えない人に対する哀れみと優しさだ。
それを勝新太郎が身体を張って演じきる。
盲目のリアルな仕草は勿論だが
乳を欲しがる赤ん坊に自分の乳首を吸わせて
慰める表情は彼の人間としての本物の温さ。
TVの座頭市シリーズでも何度か
彼の無類の子供好きのエピソードが描かれた。

冒頭と最後に一列に連なった按摩の集団が登場するが
彼等が健常者と同じ様に生きられない
無常観がひしひしと映像から伝わってくる。
それは人間の”業”の様なものにさえ感じる・・・。
此の仕掛けは音楽・伊福部昭に負う処が大きい。
彼の書くスコアは「ゴジラ」にも「大魔神」でも哀しみが漂う。
それは我々日本人の原風景、土着的な旋律だからだろう。
座頭市が子守り娘から耳で覚えた子守唄だ。
恐らく伊福部のオリジナル作曲だと思うが
初めて聴くはずなのに何処か懐かしい。
まして歌の巧かった勝新太郎だから尚更心に響く。
「座頭市血笑旅」見逃していた名作。
改めて勝新太郎と三隅研次、二つ才能の素晴らしさに感動。
未だ有る此のコンビ作品、全部観なくてなるものか。
ジャケットをクリック
Frank Sinatra-Send In The Clowns
私が此の曲に出会ったのはフランク・シナトラのカヴァーだ。
20代半ばに西新宿の中古レコード屋でシナトラのアルバムを
大量に見つけた中に此れは在った。
シナトラはショーアップしたスインギーなものより
彼の俳優としての演技力と云うか歌唱力を生かした
スロー・バラードが私は好きだ。
因みに此の曲以外にMY BEST-5に入るのは
クリックするとYouTubeにリンク
何れもゴードン・ジェンキンスかネルソン・リドルの編曲だ。

生ハムのアヒージョ
なかなか減らない生ハムの切れ端を
ニンニクとヴァージン・オイルに浸し
エリンギとセロリを刻んでゆっくり温めたアヒージョ。
生ハムの風味が絶好の調味料となる。
少しづつ残っていた野菜でポトフを作ろうとしたが
肉の代わりに入れたコンビーフが
今ひとつピンと来なかったので
カレー粉とクミンを入れてインド風スープに
したら落ち着いた。
困った時のカレー味だな。
此れ等をバケットに吸わせて食べた。
サラダは新玉葱がメインのヨーグルト・ソース。