2015年1月30日金曜日

(大映篇)
成田三樹夫(1930〜1990)
以前、此処で俳優・南原宏治が
刑務官の子供で刑務所の中で生まれたと云う話をしたが
今日の成田は秋田、旭川、仙台の刑務所長を
歴任した偉い父を持つ俳優だ。
俳優座12期生の同期に”木枯らし紋次郎”の中村敦夫がいる。
大映と専属契約し、市川雷蔵と勝新太郎の
脇役として頭角を現した。
とにかくドスの効いた声と危ない顔つきは
敵役として主役を引き立てるのには充分な
素質を持っていた。
私の記憶に残るのは「座頭市地獄旅」のニヒルな浪人役
大の将棋好きで、座頭市と口だけの将棋をする
(座頭市は目が見えないからネ)
丁度、第一作目の「座頭市物語」の天知茂の様な役
何処か孤独な心が触れ合い一緒に旅をするが
此の浪人を仇と狙う兄妹が居て、そのしがらみで
結局、彼は座頭市と劍を交えることになる・・・。
監督は先日の「座頭市血笑旅」の三隅研次。
丁寧に張られた伏線に、此の成田の好演もあって
映画を最後まで魅せる。
大映が倒産した後も、成田は東映の深作欣二に呼ばれ
「仁義なき戦い」シリーズで様々な現代ヤクザに
生の人間性を投影させた。
怖いだけのヤクザでなく、どこか間の抜けた処を見せ
真実味を感じさせた。
他に眉を落としたズルい公家役に定評があり
彼は、それ以降の公家役の定番を作った。
TVの時代劇シリーズには必ず登場していたし
刑事ものや「ガードマン」のレギュラーとして
売れっ子であった。
何故、此れほどの名優が生涯、主役をやれなかったのか
私には不思議で成らない。

以前、東映時代劇の悪役の特集をしたが
大映にも彼を始めとして巧い敵役が
まだ沢山居たので少しづつ取り上げて行きたい。

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