SOUL TO SOUL 永遠の1曲「ライオンは寝ている」
いつも静かな画像で始まる此の番組が好きだ。
誰でも知っている有名な曲を取り上げ
その曲が生まれた背景を探る此の番組は、自分もブログで
「今日の1曲」をやっているので、とても参考になる。
此れまで10ccの「アイム・ノット・イン・ラブ」等
当時の録音スタッフを現地に訪ね、取材するだけでなく
日本のミュージシャン鈴木慶一くんが出て、
そのサウンドの複雑な仕掛けを解説したりと
音楽好きなら解る、そのツボを心得た構成に感心する。
此の日はトーケンズのヒット曲「ライオンは寝ている」(1961)
だったが、此の曲、実は南アフリカのソロモン・リンダの
作った「Mbube」(1939)が、原曲と言うのを私は初めて知った。
しかも、それがアメリカン・トラッド・フォークの祖
「花はどこへ行った」のピート・シーガーに取り上げられ
彼のカーネギー・ホールのライブ盤を聴いた
若い”トーケンズ”がレパートリーにし
レコーディングする時に歌詞と構成を組み立て直したと言うのだ。
確かにアフリカ音楽はループ状で1つのフレーズを
繰り返しているが、それではポップスとしては単調だ。
それにソロモン盤ではサブ扱いだったメロディーを
メインにし、歌詞を付けたのがヒューゴ&ルイージそして
デビッド・ワイズという3人組ソング・ライター・チーム。
しかもアレンジにオペラ歌手のソプラノまで付けて
歌ったトーケンズはビーチ・ボーイズの様なポップ・グループ
彼ら自身まさか此れほどヒットするとは思いもよらなかったと。
そして今、此の曲でコンサートが世代越えて盛り上がるのを
心から喜んでいた。
そして原曲を作った南アフリカのソロモン・リンダは、
とっくの昔、貧困の内に亡くなっていたが
その後、著作権使用料をレコード会社から受け取り
残された彼の娘達3人は父の墓を建てる事が出来たと
父を忍んで涙を流して歌う此の原曲に、観る方も心を打たれた。
最後にトーケンズのメンバーの1人が此の唄は
ララバイ=子守唄なのだと
”今、ライオンは寝ているから、貴方も安心してお休み”
とかく観るに耐えないものが多い今時のTVで
真っ当な番組を地道に作り続けている
此の番組の制作スタッフに、エールをおくりたい。