2023年8月28日月曜日
2023年8月27日日曜日
2023年8月26日土曜日
前の2作の監督は”相棒”の橋本 一。
良くも悪くも、そのロマンティシズムは私には鼻につく。
今回変わっての演出は”あまちゃん”のNHKディレクター吉田照幸。
プロローグ、北海道の大雪原を走る車に
”はちみつぱいの大道芸人”が掛かっただけで嬉しい。
トラックを運転していた男が殺され同乗していた女は行方不明
その女の恋人は主人公の探偵の相棒の大学の後輩
彼女を探してくれとの依頼。
此の当たり前の仕事が後に大変な事となる。
札幌中心の探偵役の大泉洋に、未だ酪農を学ぶ大学院生だが
格闘技の得意な松田龍平のコンビ。
此れに今回は”ファムファタールー運命の女”に北川景子
そして彼女を愛人にする悪徳実業家にリリー・フランキー。
此のキャスティングが先ず上手い。
”あまちゃん”もそうだったが役者が役にハマっていると
全て現場が自然に動き出す。
北川景子って、こんなに芝居が上手かった?と
コロコロ変わる彼女の表情に探偵・大泉洋ならずとも騙される。
そして大泉洋も脚本が上手いのか、前2作以上に
シリアスな演技を見事にこなして彼が今
映画TVと業界トップの地位に居るのが肯ける。
それでも”金曜どうでしょう”まんまの軽さが魅力だ。
コンビの”松田龍平”も「御法度」から何も変わらぬ”大根”だが
あの岸部一徳と同じで、それが芸風になりつつある。
意外に早く”化ける”かもしれない。
特に格闘技を活かした敵の用心棒との対決が面白かった。
他には”孤独のグルメ”の松重豊のヤクザ役はテッパンだし
探偵に絡む喫茶店のお色気ウエイトレスの安藤玉恵は笑わせるし
ゲイBARのママ篠井英介は怖いし
シリーズの楽しさを繋いだ監督 吉田照幸の才能が素晴らしい。
此の後、「鎌倉殿の13人」でも大泉洋を使っている。
そして最後に又”ムーン・ライダースの大寒町”のエンディングに
喝采を送った。
2023年8月25日金曜日
2023年8月24日木曜日
2023年8月23日水曜日
2023年8月22日火曜日
2023年8月21日月曜日
此のシリーズで一番金を掛けたんでは無いかと思うくらい
スケールのあるシリア・ロケの映像には冒頭から目を奪われる。
カメラマンはヴェルトルッチの「シェリタリングスカイ」の
ヴィットリオ・ストラーロのセンスに近いし
日本人なら差し詰め市川崑とコンビの宮川一夫だな。
とにかくどの場面も光と影を計算し尽くしていて
フレームの切り方のシャープさは”楽園”の三浦賢治。
砂漠の中のコロニアル様式のホテルも素晴らしいし
何より遺跡発掘現場はインディジョーンズ並み
その深い穴に地上から差し込む光は天国からの様。
此の俳優はティム・カリー”ミュージカルの”ロッキー・ホラー・ショー”
に映画舞台両方で主役を演じた怪優。
此の映画では考古学者役、居るだけで怪しい。
まあアガサ・クリスティだがら名探偵ポアロ以外は登場人物は全員怪しいんだが・・・
話はその考古学者と再婚したサディストの大金持ちの女が
養子にした子供達を次々と虐待しては楽しんでいた過去が描かれる。
その後、大人になった養子たちも此の旅行に参加している。
此れはアガサには良く有るパターンだが。
でも今回は捻って有り
子供を預けた実の両親が恨みを晴らすという訳、
その殺し方も、手が混んでいて
発掘現場近くの高台に彼女を座らせ全身が麻痺する注射を打ち
砂漠の強い日差しで焼き殺すという残酷さ。当に先住民の鳥葬だ。
それは彼女の児童虐待場面とカットバックするから
観る方は彼女の自業自得と納得させられる編集だが、観ていて気持ち悪い。
それでも、それを救うのはシリア砂漠の圧倒的な美しさ。
題名の「死との約束」は発掘された遺跡の壁に彫られた
古代文字の文章で何やら、意味ある様な無いような・・・
凄惨な復讐劇だから死は約束されている訳だが。
それも事件が解決してポアロが本当に孤児となった娘に
”生きていれば何か良い事がありますよ!”の台詞は
ホテルを去る時の余韻の残る良い場面だ。