此のシリーズで一番金を掛けたんでは無いかと思うくらい
スケールのあるシリア・ロケの映像には冒頭から目を奪われる。
カメラマンはヴェルトルッチの「シェリタリングスカイ」の
ヴィットリオ・ストラーロのセンスに近いし
日本人なら差し詰め市川崑とコンビの宮川一夫だな。
とにかくどの場面も光と影を計算し尽くしていて
フレームの切り方のシャープさは”楽園”の三浦賢治。
砂漠の中のコロニアル様式のホテルも素晴らしいし
何より遺跡発掘現場はインディジョーンズ並み
その深い穴に地上から差し込む光は天国からの様。
此の俳優はティム・カリー”ミュージカルの”ロッキー・ホラー・ショー”
に映画舞台両方で主役を演じた怪優。
此の映画では考古学者役、居るだけで怪しい。
まあアガサ・クリスティだがら名探偵ポアロ以外は登場人物は全員怪しいんだが・・・
話はその考古学者と再婚したサディストの大金持ちの女が
養子にした子供達を次々と虐待しては楽しんでいた過去が描かれる。
その後、大人になった養子たちも此の旅行に参加している。
此れはアガサには良く有るパターンだが。
でも今回は捻って有り
子供を預けた実の両親が恨みを晴らすという訳、
その殺し方も、手が混んでいて
発掘現場近くの高台に彼女を座らせ全身が麻痺する注射を打ち
砂漠の強い日差しで焼き殺すという残酷さ。当に先住民の鳥葬だ。
それは彼女の児童虐待場面とカットバックするから
観る方は彼女の自業自得と納得させられる編集だが、観ていて気持ち悪い。
それでも、それを救うのはシリア砂漠の圧倒的な美しさ。
題名の「死との約束」は発掘された遺跡の壁に彫られた
古代文字の文章で何やら、意味ある様な無いような・・・
凄惨な復讐劇だから死は約束されている訳だが。
それも事件が解決してポアロが本当に孤児となった娘に
”生きていれば何か良い事がありますよ!”の台詞は
ホテルを去る時の余韻の残る良い場面だ。
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