「われらが背きし者」(2016)
「寒い国から帰って来たスパイ」で有名なジョン・ル・カレ原作の映画化。
ジョンは英国情報機関MI6の出だから
この映画でも、それが絡んでくる。
主演はユアン・マクレガーだが
彼はスパイではなくて唯の大学教授。
結婚七年目に浮気をして、弁護士の妻と上手く行かなくなり
その夫婦関係修復のためモロッコへ観光旅行。
女房役のナオミ・ハリスが知的で良い。
「007 スカイフォール」にも出てたらしいが・・・。
そこで出会ったロシアのマフィアの幹部から
MI6との接触を頼まれる。
MI6とは何の関係もない筈の大学教授が
マフィアから亡命を図る彼らに夫婦もろとも
巻き込まれる羽目となる。
巻き込むロシアン・マフィア役のステラン・スカルスガイドの
演技が巧いので、その強引さも自然に見える。
彼の接触はマフィアの世代交代で、その二代目に
殺されるから自分の持つ情報を引き換えに
家族ごと英国に亡命をしたいというもの。
こんな人の良い役は米国ならトム・ハンクス
英国なら、ユアン・マクレガーに、ぴったり
早速、彼は英国に戻りMI6と接触する。
しかしロシアン・マフィアはマネーロンダリングの為
英国に銀行を設立するのに、元MI6で今は大臣にまで
なっている男を買収していた。
これに、その大臣の悪を暴こうとするMI6が立ち上がり
行きがかりで、その亡命を手伝う主人公夫婦は
何とパリからアルプスまでの大活劇となる。
何しろ此のユアンはSTAR-WARSのジェダイと違い
拳銃も持ったことのないひ弱なインテリ大学教授。
その彼が凶暴なマフィアの組織と戦う展開が面白い。
手際の良い演出はスザンナ・ホワイトという女性監督。
ル・カレの原作は、どうなのか分からないが
ラストのオチも効いていて楽しめる。
それにしても先に観たポランスキー監督の
「ゴーストライター」と言い、ユアン・マクレガーは
追われる役が、とても似合う。