1920s jazz standards
2023年9月30日土曜日
2023年9月29日金曜日
「薄化粧」(1985):五社英雄監督作品
此の映画、冒頭から主演が緒形拳でもあり
今村昌平の「復讐するは我にあり」と話が酷似しているので
西口彰事件を扱っているのかと思ったが、別の話(西村事件)だった。
先の”復讐する・・・”の6年後に製作された此の映画。
監督・五社は先の今村昌平に対抗して、緒形拳をどう演出するのか?
どちらも全く同情の余地のない殺人鬼の話である。
”薄化粧”という艶かしい題名は、此の殺人鬼が逃亡するのに
蛇の様なと言われた自分の顔に化粧を施し・・・と言っても
薄い眉を太くし眼鏡をかけるだけだが。
それで他人に成り済まし8年にも及ぶ逃亡生活をした事から来ている。
脚本は時系列を組み替え、最初の爆弾事件で逮捕され、
刑務所に入れられた彼を尋問する刑事(川谷拓三)に
自ら首を切って脱獄する所から始まる。
頸動脈を切るのだから、大した度胸で有る。
観るものは、此の激しい男(緒形拳)のエネルギーに圧倒され
銅山の組合騒動を裏切る話もまさか?と思うが
それも欲望のまま生きる此の男の生き様と、ついていくしかない。
自分の女房と子供を、成り行きとは言え殺害し
家の床下に埋め、そこへ愛人(浅野温子)を迎える神経は
呆れるしかない。
まして、借金の方に人の女房を抱き、その娘(松本伊代)に惚れ
結婚すると言われると、その夫の家ごと爆弾で吹き飛ばす。
脱獄した彼を追う刑事に気付き、その採掘現場を逃げても
新しい土地で、また飲み屋の女(藤 真利子)に惚れられ
何故、女達は此んな男に弱いのか?
此の映画のサブ・タイトルは”何をしてもええ、やさいして”
そんな、欲望だけで生きている男の魅力を演じさせたら
他に居ない緒形拳!
人間とは不思議な生き物。そんな極悪人でも
何処かに罪の意識を持ちながら逃げ回る。
先の”復讐する・・・”では逮捕された車の中で
呟く様に賛美歌を歌っていたが
此の映画では、小さい仏壇を逃亡中も運び、中には
妻と息子の位牌の代わりに小石を入れている。
そんな人間性を、ときに繊細に、そして豪放に演じ分ける
昭和の名優・緒形拳の此の2本!是非観て欲しい。
2023年9月28日木曜日
2023年9月27日水曜日
「雪之丞変化」(1963):市川崑監督作品
長谷川一夫の300本記念映画で有る。
彼は林長次郎(1935)時代に衣笠貞之助監督で同じ役を演じているが
大映の社長永田雅一と市川崑の雑談から始まった此の企画
監督はともかく此の時、おん年65歳の長谷川が良く承諾したもので有る。
冒頭から二重顎が気になるが、それが彼の芸で消えて行く。
そう、市川崑は、此の”長谷川一夫”という日本映画屈指の逸材を使って
可成りの映像的な実験をしている。
先ず歌舞伎役者の話で有るから、歌舞伎の舞台の様に上下を切って
シネマスコープを生かした舞台劇としてドラマを展開する。
更に歌舞伎というより前衛劇の様に、ここぞという時
突然、照明を暗くして彼だけにスポットを当てた。
此れで65歳の長谷川は消え、前作で女形上がりの衣笠貞之助監督に
仕込まれた中村雪之丞そのものとなった。
それにしても丁寧なカット割りにアングルに
さすが宮川一夫と思ったらカメラは小林節雄!
その頃、長谷川は彼専属のカメラに照明、衣装にメイクと決まっていたのを
市川はカメラだけは東京の小林節雄と譲らなかった。
真っ黒な画面に浮かび上がる白い雪之丞の美しさに誰もが息を飲む。
”色々遊ばせてもらいましたよ”と後日語った監督・市川崑の
実験的な映像は、後の「東京オリンピック」に繋がる。
それまで誰も観た事のない宙を飛ぶ、岡っ引きの長縄
更に白刃だけが舞う立ち回りと
当時の市川崑はアイディアに溢れていた。
それらを目撃していた助監督の井上昭や撮影 B班の池広一夫の興奮や如何に。
それでいて♪流す涙が〜お芝居ならば〜の東海林太郎の歌で始まる
原作・三上於菟吉を脚色した伊藤大輔と衣笠貞之助に
更に和田夏十の脚本は現代でも通用する言葉に置き換え
陰惨な復讐劇のおぞましさを伝え、虚しいラストに
何とも言えない熱い余韻を残している。
これまで林長次郎から東千代之介、美空ひばり、大川橋蔵と
何度も映画化され”忠臣蔵”と並ぶ日本人好みのストーリィだが
此の市川崑の雪之丞変化”を超える作品は出て来ないだろう。
2023年9月26日火曜日
ジョン・ウィック:チャプター2
本当は”キネマ通り”として作品の紹介をするつもりだったが
脚本、映像とレベルが低く観るべきものは無かったが
キャスティング(特に悪役)が面白かったので
此のコーナーに変えた。
断られたので彼の家を焼き払うイタリア系犯罪組織の幹部
サンティー役リカルド・スカルマルチョ。
此の俳優のキャラが濃い。アラン・ドロンばりの二枚目ながら
コンプレックスの塊の様な微妙な演技はキアヌに殺されるのを
待っている様。
イアン・マクシェーン(1942~
闇の犯罪組織コンチネンタルの代表にして
ニューヨーク・ホテルのオーナー兼支配人
主人公とジョンと深い繋がりがある。
名前からしてイギリス人だが
イタリア俳優ジョンカルロ・ジャンニーニ似の濃い顔は
一度見たら、忘れられない。
ランス・レディック(1962~2023)
コンチネンタル・NY・ホテルのコンシェルジェのシャロン役
その無表情で死神の様なキャラは相当怪しいがジョンの味方。
キュブリックの”シャイニング”のバーテンを思い出す。
此のシリーズ全部に登場ブレイク寸前で亡くなった。
フランコ・ネロ(1941~)
ご存知マカロニウエスタンの純血種にして
あのバネッサ・レッドグレープとの間に息子まで作った
伊達男も今やオーソンウェルズ並みの貫禄で
コンチネンタル・ローマ・ホテルの支配人にして
主人公とは旧知の間柄。
「ダイ・ハード2」では極悪人まで演じたから
此の良い方か悪い方か判らない黒幕役はピッタリ
・・・と、まあ敵味方分からないまま
拳銃と格闘技の混ざり合った派手なアクションシーン
ばかりだが、此の作品にはキアヌ・リーブ作品らしい
”サウダーデ”が皆無。
それもその筈、此の監督は、あの”マトリックス”で
キアヌのスタントマンをしていたんだから監督は無理だ。
でも此のシリーズはヒットしたから
後の3、4作目を演出してるんだなあ。
2023年9月25日月曜日
2023年9月24日日曜日
2023年9月22日金曜日
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