2022年2月28日月曜日
2022年2月27日日曜日
今、戦争を始めたロシアのトルストイ原作の此の映画化を観るのは
何の意味があるのだろうか?と自問自答しながら
3時間半の超大作を一気に観てしまった・・・というのも
ヒロイン”ナターシャ”を演じたオードリー・ヘプバーンの可憐な魅力に惹かれ
イタリアの2大プロデューサー、カルロ・ポンティとディノ・デ・ラウンティスに米国パナマウントの巨大製作費。
C.G.がない時代、画面の隅々までエキストラを埋め尽くしたフランス兵とロシア兵の合戦画面に、ただただ圧倒され続けた。
そう此れは70mmスペクタクル映画全盛の映画界に元気があった時代の作品だ。
オードリーは「ローマの休日」でブレイクし
「麗しのサブリナ」と「パリの恋人」の間、名実ともに絶頂期の美しさ。
その無垢なロシア貴族の娘ナターシャが恋をし
それがフランスとロシアの戦争に振り回され女性として人間として成長していく姿を原作トルストイは描いた。
オードリーは此の作品で相手役のメル・ファーラーと結婚している。
役の上で女たらし将校に誘惑され、婚約したメル・ファーラーを裏切る事で
更に彼女の想いが屈折してメルに増したのだろうか?
私はヘンリー・フォンダが演じるピエール役の方が誠実で、彼女にふさわしく感じたが、ヘンリーの役は先にアニタ・エクバーグ演じるエレンという肉感的な女性を妻にしてしまう。
果たして彼女は財産目当てで不義密通を働くとんでもない女であったのだが。
此の時のアニタ・エクバーグは、後のフェリーニ映画のグラマーと違い、元ミス・スウェーデンだけにスリムでその美貌は流石のオードリーも負ける。
此の映画には、もう一人ユニークな俳優が出ている。
後にピーター・セラーズの「ピンクパンサー」のクルーゾー警部の上役ドレフェスのハーバート・ロムだ。
外国版”怪優列伝”に入れたいくらい危ない役者だが、狂気に満ちたナポレオンを見事に演じて実際、絵画で見るナポレオン、そのままの風貌だ。
それにしても前半のモスクワの街のオープンセットの凄さ、後半の大部分を占めるロシアとフランスの戦闘場面は実際に1万8000人のイタリア軍兵士を雇い、当時の軍服を着せて、高地からスペクタクルなアングルで捉えた映像は流石のアカデミー撮影賞ノミネート・カメラマンのジャック・セットカーディフ。
重厚な音楽はイタリアが誇るマエストロ作曲家ニーノ・ロータ。
後のヴィスコンティ監督の「山猫」とスコアが似てる。
まあ、ディテールを話すとキリがないから、この辺で止めるが。
トルストイが書いた原作は、戦場で大勢の兵士が殺しあう現場を目の当たりに観た民間人ヘンリー・フォンダが、一時は
ナポレオン憎しと、暗殺を試みるが、いざ彼の拳銃の照準にナポレオンが入ると、それは愚かな事と取りやめ、つまり戦争は意味のない事だと悟る。
更に敗退するロシア軍に彼は捕虜として連行され極寒の荒地を国境まで深い雪の中の死の行進で、その悲惨さは強調される。
映画は長い長い回り道をしたオードリーとヘンリー・フォンダが、観客が望む様にラストは結ばれて終わる。
”戦争と平和”が、ほんの僅かな人間の狂気に左右されてしまう事を此の映画は教えている。
2022年2月26日土曜日
西部劇の中でも傑作と言われている此れをやっと昨夜。
果たして、それは噂に違わず素晴らしい出来であった。
監督アンソニー・マンはオーストリアから移住したユダヤ系の両親を持ち、オフブロードウェイの舞台に役者として立った後、ハリウッドに移り、此の作品が彼の監督デビューである。
それなのに鮮やかな俳優演出には舌を巻く。
その俳優たちだがジェイムス・スチュアート主演。
ヒロインにシェリー・ウインタース。
悪役などのキャスティングが個性的だから大勢の出演者でも話が分かりやすい。
後にハリウッドの二枚目としてブレイクする前のロック・ハドソンやトニー・カーティスの顔も見える。
話は”ウィンチェスター73”という1000年に1つの名銃を巡って繰り広げられる因縁のドラマ。
映画の冒頭、町の射撃大会で優勝したジェイムス・スチュアートに与えられる筈の、その銃が奪われ、先住民インディアンの手に渡り、それが又、ならず者の手にと、丸でラグビーのボールの様に転々とする。
それは無駄のない編集でテンポ良く進み
途中、主人公と酒場女のシェリー・ウインタースとの、かり染めの恋も描かれる。
後に「ポセイドン・アドベンチャー」でオスカーを取った名女優は、この時既に流されるまま生きている女の哀しさを見事に演じている。
そして主人公と敵役の確執の謎を最後まで伏せたロバート・L・リチャーズとボーデン・チェイスの脚本が上手い。
それよりモノクロながら大西部の魅力を多彩なアングルで捉えたカメラワークはウィリアム・ダニエルズが素晴らしい。
特にラストの崖の上下の迫力ある撃ち合いの撮り方が素晴らしい!
ニコラス・レイ監督の「大砂塵」と並んで、甲乙付け難い西部劇の傑作と言えよう。
監督アンソニー・マンは此の後もジェイムス・スチュアートと組んで西部劇を撮っているので全部観たいものだ。
2022年2月25日金曜日
「ショーシャンクの空に」の監督だから原作スティーブン・キングでも
又温かいヒューマン・ドラマか?と思いきや、
とんでもないド・ホラー映画であった。
出だしは天気も良い静かな湖畔に住む三人家族が
いつからともなく立ち込めた霧に
そう、霧に覆われ恐怖の正体が中々見えないのが
此の映画のポイントだ。
停電し外界と遮断されたアメリカの田舎町のスーパーに
閉じ込められた人々は、血だられで逃げ込んで来た男を見て
恐怖に慄き泣き喚くばかり。
子供と買い物にきた父親はイラストレーター
非力だが、冷静な神経は備えていて
目の前の現実に立ち向かう・・・と。
人間の妄想は恐怖に対して限りなく膨らみ
ハルマゲドンの天罰だ!と騒ぎ立てる宗教論者の女も居て
何より、それが一番怖いのだとは監督の此の映画の狙い。
それでも私が怖いのはシャッターを潜り抜け襲ってくるのが
巨大なヌルヌルしたイカ蛸の様な触手に始まり
窓ガラスを割って飛び込んでくる巨大昆虫に蝙蝠
これには参る・・・あれよあれよと
ギレルモ・デル・トロ系のクリーチャーの大売り出し。
モンスターに襲われるだけではなく
気が変になった人間どもの殺し合い。
やっと逃げ出した主人公親子の結末もハッピーエンドには程遠い。
つい最後まで観ちゃったが
絶対2度と見ない映画だな(笑)
2022年2月24日木曜日
2022年2月23日水曜日
2022年2月22日火曜日
2022年2月21日月曜日
世界音楽旅行 ロマ編 番外その1