西部劇の中でも傑作と言われている此れをやっと昨夜。
果たして、それは噂に違わず素晴らしい出来であった。
監督アンソニー・マンはオーストリアから移住したユダヤ系の両親を持ち、オフブロードウェイの舞台に役者として立った後、ハリウッドに移り、此の作品が彼の監督デビューである。
それなのに鮮やかな俳優演出には舌を巻く。
その俳優たちだがジェイムス・スチュアート主演。
ヒロインにシェリー・ウインタース。
悪役などのキャスティングが個性的だから大勢の出演者でも話が分かりやすい。
後にハリウッドの二枚目としてブレイクする前のロック・ハドソンやトニー・カーティスの顔も見える。
話は”ウィンチェスター73”という1000年に1つの名銃を巡って繰り広げられる因縁のドラマ。
映画の冒頭、町の射撃大会で優勝したジェイムス・スチュアートに与えられる筈の、その銃が奪われ、先住民インディアンの手に渡り、それが又、ならず者の手にと、丸でラグビーのボールの様に転々とする。
それは無駄のない編集でテンポ良く進み
途中、主人公と酒場女のシェリー・ウインタースとの、かり染めの恋も描かれる。
後に「ポセイドン・アドベンチャー」でオスカーを取った名女優は、この時既に流されるまま生きている女の哀しさを見事に演じている。
そして主人公と敵役の確執の謎を最後まで伏せたロバート・L・リチャーズとボーデン・チェイスの脚本が上手い。
それよりモノクロながら大西部の魅力を多彩なアングルで捉えたカメラワークはウィリアム・ダニエルズが素晴らしい。
特にラストの崖の上下の迫力ある撃ち合いの撮り方が素晴らしい!
ニコラス・レイ監督の「大砂塵」と並んで、甲乙付け難い西部劇の傑作と言えよう。
監督アンソニー・マンは此の後もジェイムス・スチュアートと組んで西部劇を撮っているので全部観たいものだ。
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