2020年7月26日日曜日


 
出会いに別れは付きものと、
涙を堪えてサヨナラした人が居るように、
大好きだったのに何かの事情で閉めてしまった店がある。
そんな店へのオマージュ=想いを古い順に書き残したい。
栃木の屋台ラーメン
まずは私の故郷の栃木市に在った屋台のラーメン屋、名前は知らない。
日が暮れる頃に赤いランプの警察署の前の広場に店を出し、
夜中だけ営業していたその屋台に通ったのは
私が中学生から高校生の頃。受験の息抜きというか、
まあロクな勉強はしていなかったな。
何せ夢中だったのは映画館からポスターを盗む事。
自分の部屋は西部劇や史劇物で天井まで埋め尽くした。
「クレオパトラ」のポスターなんかはエリザベス テーラーを
レックス ハリソンとリチャード バートンが挟んだ巨大なビルボード用で
縦横3x5mも有ったんだから私は相当な凄腕だった訳よ。
おっと横道に逸れたが、話しを屋台に戻すと、
とにかく夏は蚊に喰われながらペダルを漕ぎ、
冬は手袋をして北風の中ハンドルを握って夜食に通ったものだ。
味は、今で言う喜多方いや佐野ラーメンに近いか?
平打ちの縮れ麺。叉焼も上手だったが何より覚えているのは
柚子の皮の切れ端が入っていた事だ。
此れは後で登場させる予定の浅草の蕎麦屋 大三にも共通するが、
どうやって柚子を一年中保存出来たのかは謎。
とにかくアッサリしたスープに潜んだ小さな柚子の皮は、
薄れゆく私の栃木の記憶の中、まだ微かに香っている。

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