計画性の無い犯罪（1989)

此れは劇場未公開のB級犯罪映画。

題名通り、全く計画性が無い連中が繰り広げる

行き当たりばったりの銀行強盗の話。

どうやら刑務所で知り合ったらしい男達４人が

アメリカの田舎町の一軒家に呼び集められるが

その呼んだ当人の頭（かしら）が冒頭で
彼を追って来た刑事２人に、あっけなく捕まってしまう。

一方、集められた男達は、何をするのかも解らず

喧嘩ばかりしているが、家の中で銀行を襲う計画書を見つける。

一方、捕まった頭は、護送される途中で刑事２人から

かろうじて逃れたものの、山林の道に迷いウロウロ。
刑事たちも、それを追ってウロウロと展開は混戦。

とにかく登場人物が皆、泥棒のプロのはずだが

憎めない間抜けな奴ばかりで笑わせる。

コーエン兄弟の「ファーゴ」ほどのサスペンスは無いが

その緩〜い進行のテンポに、何とも云えない魅力がある。

捻りの利いたシナリオは此の監督ジム・カウフが
「ナショナル・トレジャー」シリーズ等の娯楽作を
数多く手がけた脚本家出身だからか？

出ている役者も、クセのある芸達者な奴ばかり

「ラ・バンバ」「ヤング・ガン」のルー・ダアモンド・フィリップス

サルサの大御所歌手ながら渋い演技を見せる
「ミラグロ」「黄昏のチャイナタウン」のルーベン・ブラデス

心臓病をかかえた爆弾仕掛けの老人をフレッド・ダウイン

（彼はフランケンシュタイン役者で有名）・・・と

何かの映画で観た事のある面々。

その彼らが、仕方なく頭抜きで銀行強盗を企てる。

果たして、それは成功するのか？が此の映画の見処。

それと平行して、頭と刑事２人は
山林で追いつ追われつのドタバタ。

双方とも河を渡るのにパンツ１枚、山中で蟻に襲われ

全裸にまで成るというお笑いまである。

まあ、結末は此れから観る人の為に話さない方がイイかな。

銀行強盗と云えど、殺人も怪我人も無く
出て来るのが皆、人の良い小悪党ばかりなので
観てる方も何とか彼等の計画を成功させたい様な
気分に成って来るのが此の映画のミソ。

「オーシャンズ-11」程の大スターこそ出ていないが

それぞれの俳優の個性が充分に楽しめる演出。

もし新聞で、此の題名の再放送（BS-11)を見つけたら

是非録画して、ご覧に成ったら如何かな？