二代目中村又五郎(1914~2009)
関西歌舞伎の中村鴈治郎は舞台以外に
市川崑監督作品などで重要な役を演じた名優であるが
同じ中村でも此の又五郎は顔は見覚えはあるものの
歌舞伎以外でちゃんとした役の芝居いや演技を観た記憶が無かった。
ご存じのように歌舞伎は立ち役者以外はほとんど動きなく背景と化す。
彼の演技を「鬼平犯科帳・寒月六間堀」で観て
その芝居の確かさに舌を巻いたと言っては失礼だろう。
なにしろ彼は芸術祭賞、紫綬褒賞に輝き、
なんと無形文化財・人間国宝だったのだから。
それで私が観た”鬼平”の彼の役だが
息子の仇を追って24年もの間、探している71歳の父親。
相手はその後、旗本相手の金貸しとなり、
用心棒達を引き連れて、隙を見せない。
話を聞いた鬼平はみかねて助太刀を申し出る。
此の当時、中村又五郎は80歳を超えていたはず
そのヨボヨボした演技は本物(笑)
いや笑ってはいけない、その凛とした老武士の風格に
哀れさは微塵もなく矍鑠たるもの。
決闘に及んで、彼が死装束と身支度を整える場面のもあり
それを手伝った料亭・小鉄の女中との別れなど涙を誘う。
池波正太郎の原作にも有るのか、殺された息子には許嫁がいて、
それが仇の男と逃げて、花魁になり、何と仇の男を支援していたと。
その複雑な男女関係は鬼平をして
”男と男の間に女が入り、ややこしい事に・・・”
此の難しい役を中村久美が哀しく演じた。
監督・三村晴彦(1962~2008)代表作「天城越え」
の演出力は歌舞伎役者を使いながら
芝居は現代にも通じるリアルさ。
今観ても色褪せない時代劇の名作の再放映は、ありがたい。
メッセージは此方まで
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