2025年5月27日火曜日

座頭市あばれ火祭り」(1970):三隅研次監督作品
シリーズ 21作目、東宝と勝プロの合作「座頭市と用心棒」の後
今度は”用心棒”の悪役・仲代達矢を起用しての此の作品は、
すこぶる面白い!
前作で敵役に新劇の大御所・滝沢修を使ったが
ここでは名優・森雅之が座頭市と同じ盲目だが
関東一帯の裏社会を仕切る極悪人”闇公方”にした。
目にコンタクトを入れての森雅之の演技は流石にキミ悪い。
更に、仲代達矢が武士崩れのヤクザを演じ
そう言えばカメラは同じクロサワ「用心棒」の宮川一夫だ!
不倫した妻(吉行和子)の仇と”市は俺が斬る”と執拗に市を追う。
妻の不倫場面を監督・三隅研次は前衛的というかシュールに描き、
後の「TV座頭市物語」の勝新演出の兆しが感じられる。
此れに池畑慎之介ことピーターが絡み
座頭市は”両刀使いか?”と思わせる・・・ねっ面白いでしょ?
もっと面白いのは映画では初めての銭湯での戦闘場面。
市も敵も真っ裸での立ち回り、カメラの宮川一夫が
上手に撮っているからナニは見えそうで見えない(笑)
此れでヒロインの大原麗子が良ければ”座頭市”シリーズのBEST-5に入る
作品になった筈だが、
彼女は時代劇に不似合いな、つけまつ毛に下手な演技でアウト。
これだけ揃えた贅沢なキャステイングも無駄となった。
それでも、宮川一夫のシャープな映像美と冨田勲の前衛的な音楽に
美術・西岡善信の凝ったセットは観る価値は有る。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿