2025年2月16日日曜日

「座頭市御用旅」:森一生 監督作品
大映が倒産して配給が東宝になった勝プロ最初の作品である。
シリーズも23作目、東宝という事で大御所・森繁久彌を引っ張り出し
敵役は珍しい三国連太郎も。
結果的にそれが功を奏しシリーズ中、5本の指に入る佳作となった。
先ず脚本(直井欣哉)を誉めねばなるまい。
いくら座頭市が、按摩で医学の知識があると言っても
殺されかけた臨月の女から産婆の代わりをさせられる
座頭市というプロローグは可成り強引だが
その導入が後に複雑な展開の鍵となる。
女の断末魔に聞いた赤ん坊の父親を尋ねていった宿場町には
女の妹の大谷直子や岡っ引の森繁久彌が居た。
そして、その宿場町の利権を狙い三国連太郎が扮する
ヤクザの親分が乗り込んで来て無理難題を吹っかける。
悪役に徹した三国連太郎の顔は本当に怖い!
それに対して此の頃の森繁久彌は人情味に溢れハマり役。
此の二人の名優で此の作品の完成度が上がった。
撮影は後に市川崑作品を手掛ける森田富士郎、
音楽は当時、歌謡曲にポップスを持ち込んだ村井邦彦。
繋ぎに玉川勝太郎の浪曲を入れたのは誰のアイディアだろう?
タイトルの”御用旅”は三国連太郎の密告で御用提灯に囲まれる
ところから来たものと思われる。
結局、もつれた糸が解れるようにラストに向かい
お約束の用心棒(高橋悦史)との対決の
ストップ・モーションで終わる此の作品。
後にフジテレビ制作の TV版「座頭市物語」への橋渡しだったのかも。









 

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