「総長の首」(1979):中島貞夫監督作品
BS松竹東急でやっている菅原文太特集の最後に
オンエアされた此の作品は文太の出番は少ない。
最後の方にちょこっと出て来るだけだ。
同じ東映・監督深作欣二がブレイクした
”仁義なき戦い”に構成は似た”ヤクザ集団抗争劇”
”仁義なき”シリーズのブームも去り
何か新しい切り口は無いか?と先に「日本の仁義」(1977)で
東宝のフランキー堺や松竹の岡田茉莉子まで引っ張り出した
スター路線もコケて、それなら”仁義なき”の底辺にある
”ヤクザの青春”を監督中島貞夫は狙ったか?
元ネタは実際にあった大阪の”ベラミ事件”だが
当事者がまだ生きているので流石に時代を昭和初期に設定
舞台もアナーキーな文化全盛の浅草に変えた。
ポスターで主役は菅原文太だが実際には歌手の清水健太郎
元キャロルのジョニー大倉に何故か舟木一夫までチョイ役で。
女優も当時のアイドル森下愛子、”愛のコリーダ”の松田瑛子まで
それぞれを彼らのイメージ通りの役を演じてさせているのが
流石の監督中島貞夫!
「日本暗殺秘録」で唐十郎と状況劇場をそのまま使った彼らしく
ジョニー大倉を韓国人キムソンチョンとして
人種差別受けながら生きる若者して登場させたり
清水健太郎はじめ三浦洋一、小倉一郎も社会からはみ出され
ヤクザにない、内部抗争で殺されて行くのが哀れだ。
東映の看板・鶴田浩二も出ているが
時代の流れをボヤくだけの扱いが此の映画のダメなところ。
ダメといえばラストに付け足した様に
菅原文太の殴り込みが有り”待ってました文太兄い!”が有り
その後、何故か東京音頭の盆踊り会場が延々と見せられる。
その踊り手達が全員、暗黒舞踏の様な白塗りなのが変。
変といえば、西村晃がマルセルマルソーばりの
パントマイムだけの出演も凄く変。
とにかく至る所に監督の変な演出が出て来る。
「くノ一忍法」シリーズで監督デビュー
「大奥丸秘物語」シリーズ
「にっぽんセックス・ドキュメント」シリーズと
東映、いや日本映画の裏街道を歩いてきた監督には
怖いものは無いのだろうな。
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