2016年9月27日火曜日

ミシェル・ルグランの映画音楽集
シェルブールの雨傘 (1964)
少し寄り道したがルグランの続き
彼が世界的に有名に成ったのは此の映画だろう。
此の作品で監督のジャック・ドゥミは
第17回カンヌ映画祭グランプリ。
フランス映画では珍しい台詞の無い、
全編、歌で構成された画期的なミュージカル。
アメリカのそれでさえ時々、ドラマの台詞が入るのに
なんと、端役まで歌って居るのだ。
まあ我々にはフランスの発音は
シャンソンに聴こえたりするから意外と自然だったが。
何より素晴らしいのはルグランのメロディの美しさ。
それぞれの場面に的確なスコアを与え
普段は此処で歌うなんて有り得ないだろうという場面
クラシックのオペラの様な不自然さを見事にクリア。
まるで名優の台詞の様に感情を表現しているのだ。

物語は若い恋人達が親に結婚するのは
まだ早いと云われてる内に、兵役で引き裂かれ
女は妊娠していたが、男からの便りが無いので
自分を求める別の男と結婚してしまう。
戻った男は女の再婚を知り、自暴自棄になるが
彼を心配してくれる別の女性と結ばれる。
それから何年か経ち
ガソリン・スタンドを経営する、その男の前に
裕福な女性が高級車で給油しに来る。
それはまさに偶然の再会。
ふたりは一目で、互いのその後の事情を理解する。
車には彼との小さな娘も乗っている。
彼が娘の名を聞けば”フランソワ”
それは、以前ふたりで決めた女の子の名前だった。
それぞれ良い家庭が有り、もう元へは戻れない。
互いに連絡先も聞かず、別れるふたり。
男の幼い息子と妻がガソリン・スタンドに戻って来て
クリスマス・ツリーが見える店の遠景に降りしきる雪。

運命の悪戯、青春の儚さに人生の重みを歌い上げる
此のラストシーンは監督ジャック・ドゥミの最高傑作
いやミシェル・ルグラン珠玉の名曲!
誰もの心に、深い余韻を残すだろう。

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