ハイ・ライズ(2015)
此のポスターの通りSF小説の映画化。
その作家に馴染みは無いがプロデュサーがジェレミー・トーマス。
彼は「ラストエンペラー」「リトル・ブッダ」等ベルトルッチ映画の
製作に、大島渚の「戦場のメリークリスマス」や
「十三の刺客」のリメイク等と娯楽性と芸術性を共存させる
世界的に有名な映画人。
克つて、私は偶々遊びに行ったブータンの寺で彼と出会い
「リトル・・・」のロケをしていた監督ベルトルッチにシャッターを
押してもらい、憧れのカメラマン、ビットリオ・ストラーロと
一緒のスナップを持っている。
・・・と前置きはともかく、FaceBookで鈴木慶一君、お薦めの作品。
何はともあれ、ギックリ腰を押してでも上京、観に行った。
果たして,想像していたモダンなSF映画と云うには
余りにも”おぞましい”
英国階級制度を皮肉ったブラックな作品であった。
話は理想のコミュニティーを夢見る建築家のプラン通りに
造られた高層マンションに移り住んだ医師が
最初は建物内にスーパーからプールまで存在する構造に満足していたが
気付いた事は、住人が階層ごとに生活レベルが違い
それはイギリスに今も残る階級制度の縮図そのもの。
しかも建築家は最上層に住み、下層階級の妻まで寝取っていた。
それに気付いた下層階級の住人たちは反乱を起こし
上層階級を襲い、暴行、略奪とエログロ・スプラッター作品と
此の映画は変貌する。
塵一つ無かった清潔なマンションは、ゴミだらけのスラムと化し
観ているコチラにも腐臭が漂って来る様。
当然,主人公のスマートな医師も死人と同居しても
何も感じない狂人と成る。
想像を絶する展開に、観客は圧倒されたまま映画は終わる。
建築家を演じた怪優ジェレミー・アイアンズ以外、あまり
見慣れない英国の実力派俳優のキャスティングに
ボウイのヴィデオ・クリップの様なシャープな映像
ユニークだが的確な音楽選曲は、何処をとっても超1級のレベル。
未来なのか現代なのか判断出来ない此の映画の世界は
米国映画には無いアイロニーに満ちていて、とても興味深い。
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