刑事フォイル 第3話・兵役拒否
BS-2で今年の8月末から始まった
ITV制作の此のTVドラマシリーズ。
原作を映画化し尽くし終わってしまった「名探偵ポアロ」と
同じ様な英国映画独特の重厚な映像につられて
観始めたが、回を追う毎に面白く成っている。
舞台は第二次世界大戦が始まった、イングランドの地方都市
ヘイスティングスを舞台に、ナチスや戦中の混乱を利用した
殺人犯罪を追う刑事ドラマ。
何より主役フォイルを演じる俳優マイケル・キッチンの
物静かな表情が良い。
警視正だから結構な年齢だが
とかくハリウッド映画に取り込まれてしまう
ベテラン英国俳優に、まだ此んな渋い役者が居たかと驚く。
彼は妻を失くし、一人暮らしと言う設定。
捜査を手伝うのは戦争で片足を失い義足の巡査部長と
若い女性の専属運転手のみ。
どんな権力者でも相手厭わず立ち向かって行く
彼の姿勢は毎回、緊張感を孕み
前後篇分かれてオンエアされているのがもどかしい。
此の第3話「兵役拒否」は始まった戦争に
人殺しは嫌だと兵役拒否を訴えた若者が裁判で却下され
留置所で自殺する処から始まる。
彼を自殺に追いやった裁判長は
一方では高額な賄賂を取り
金持ちの息子を徴兵から逃れさせている老獪だ。
前編では、その裁判長が何者かに殺人の脅迫状を送られ
刑事フォイルは彼の警護を命令される。
しかし殺されたのは、その裁判長の館に
ロンドンから疎開し来て居た少年。
果たして、その犯人は誰か?
老獪で独善的な裁判長は多くの人に
恨まれているので、刑事フォイルは犯人の的を絞れない。
此の辺りのシナリオは、アガサ・クリスティの
推理ものの伝統を英国らしく踏んでいる。
結局、裁判長は殺され、更に犯人探しは困難を極めるが
刑事フォイルは意外な真犯人を割り出す。
此のドラマが良く出来ていると思うのは
推理ドラマとしてヒネリが効いているだけでは無く
我々日本人が良く知らない欧州開戦当時の状況が
時代考証も含め丁寧に描かれている事。
そしてクローズアップの多用に象徴される
登場人物の心理描写が、キャスティングの良さも有って
実に見事な事だ。
もしドイツとイタリアが攻めて来たら?と恐れおののき
必要以上に愛国心を煽られ、好戦的に成る英国国民たちは
遠く距離も時代も離れた我が国の
キナ臭い今の状況と重なり、考えさせられる事が多い。
此のシリーズ、余りにも制作に予算をかけ過ぎ
中止と成ったと言うが、中止の本当の理由は
それだけでは有るまい。
脚本演出を含む制作者たちの狙う処が
今の右翼的な英国の国策と合わないのだろう。
処で、その後に観た
フジテレビ開局50周年記念ドラマと冠した
「BARレモン・ハート」
此れは酷い出来。
「漫画アクション」で連載中の人気漫画のドラマ化だが
古谷三敏の漫画なら許せる緩〜い話は
実写となると観るに耐えない。
役者もミスキャストなら、台詞も臭くて聞くに堪えない
此れは脚色の不味さ、いや演出家の才能の無さだろう。
だいたい映像が軽くて、BARの美術に魅力が無い。
此れなら宮沢りえの”ヨルタモリ”のセットの方がマシ。
私は所謂BARの雰囲気が好きなのだが
落ち着いた渋い照明等が有ってこそ
その美しい光と影に映えるカクテルが飲みたいのだ。
此のドラマの店「レモン・ハート」のカクテルは
不味そうで飲む気にならない。
店に置いてある小物からして
(インテリアはオーナーのセンスを計る大事な要素)
そこには知性のカケラも感じられ無い上
彼は、やたらカクテルのウンチクを説教っぽく話す
(しかも役者にセリフが入ってないからタドタドしい)
此んなマスターの居る店に私は絶対行きたくない!
まだ此のブログの右に在る私の”カクテル講座”の
写真やレシピや御託の方が、ずっとイイんでないかい(笑)


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