2015年6月18日木曜日

 スペクタクル映画
エクソダス:神と王
今や大監督と成ったリドリー・スコットの
かっての聖書物「十戒」のリメイクである。
先のものはチャールトン・ヘストンとユル・ブリンナーの共演
今回はクリスチャン・ベールとオーストラリア出身の俳優
ジョエル・エガートン。
それに先日”悪役列伝”に出したジョン・タトゥーロが
ファラオを演じているので期待したが
彼らしい“危ない王”の狂気は観られなくてがっかり。
そう全て、最近のC.G.を使って昔の作品以上の
スペクタクル・シーンは満載なのだが
脚本が悪いのか?編集が下手なのか?感動は薄い。
決してモーゼ役のクリスチャンが合わないと言う訳ではないのだ。
彼はスピルズバーグの「太陽の帝国」の子役から
スタートし「バットマン」シリーズでは一番人気だ。
だから救世主としてのカリスマ性は無く
人間として悩み苦しむヒーローを演じて自然なのだが
ナイル河のワニが集まり人間を襲い
その血で魚が死に、疫病が流行り
更にイナゴの大発生と次々と起こる天災は
全てヘブライ人をエジプトから脱出させる為の
”神の思し召し”という”旧約聖書”には
私の様な無宗教には、どうにも説得力に欠ける。
それに神の姿がチベット密教のリンポチェ=少年なのも
キリスト教の起源を辿る話に何だかなあである。
まあ、それはともかく流石に現代人には
”奇跡”も、ちゃちな合成技術ではなく
自然科学的に説得力を持たせようと
例の紅海が割れるシーンは地震に因る津波で
潮が引き、また戻ると言う説明にしてある。

それを丁寧にヴィジュアル化する事に気を取られたか
監督リドリーの計算が狂い
兄弟として育てられたラムセスとモーゼの確執
互いの心の葛藤を描ききれなかった様だ。
エジプトと言えばスフィンクスやピラミッドが
スペクタクルな背景として、ふんだんに出て来るのだが
その”大きさ”や”重さ””モブシーン=群衆場面”も
全てC.G.で処理されていると思うと
少年の頃、観た70mm映画の興奮には遠く及ばないのだ。

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