2015年6月30日火曜日

ミッション:8ミニッツ(2011)
昨日のニュースで身体が死んだ人の脳と
脳死したばかりの人の身体を繋ぐ手術の
是非を問うていたが
此の映画はアフガニスタンで身体を破壊され
生命維持装置だけで生きている
元特殊部隊の兵士の脳を利用するという作戦の話だ。
(「ジョニーは戦場に行った」より酷い話だね)
”人間は死ぬ直前8分位の残像を記憶している”
・・・という話をネタに
爆破される予告のシカゴ行きの列車に乗った男に
主人公は脳だけ、つまり違う男にリンクさせられる。
だから鏡を見ると別の男の姿が映る、しかし
画面に出ているのは此のジェイク・ジレンホールだ。
まあ、そこは映画の嘘なのだが
緊張感のある演出は無理を感じさせ無い。
冒頭、映画は俯瞰で捉えたシカゴの街
美しく都市計画された町並みや高速道路から
線路を走る列車に移ると
主人公が突然目覚めるアップになる。
彼の記憶はアフガンでト切れているので状況が
掴めないが8分で突然列車は爆破し、映像も途絶える。
気が付くと彼はタンクの様な
密室に戻され、側にあるモニターに映る
女性科学者から
此のミッションが、死ぬ8分前の映像を探り
犯人を見つけ爆破を阻止する事と知る。
しかし彼は此のミッションの意味を理解出来ないまま
再び列車に戻される。
此の死んでも死んでも元に戻される設定は
英国のTVドラマ「プリズナーNo.6」を思い起こさせる。
その不条理加減はカフカの「審判」の様でもある。
でも此れは”SFテクノスリラー”というジャンル。
主人公はヒーローなので列車の中で
向かいの席の娘に恋をする。
(此の娘役ミシェル・モナハンという女優が美しい)
何度か密室と列車を行き来する内に
段々、彼は状況を把握し、時限爆弾を発見し
元特殊部隊員だけに装置を解除し犯人も特定する。
しかしテロ犯人が次に計画している
シカゴ全体の爆破計画を止めようとして
娘と一緒に撃たれ、殺されてしまう。

それにしても何度も何度も殺される恐怖を味わうのだから
主人公も、こちら観る方も溜まったものではない!

再び現実のタンク内に戻された彼は
爆破が阻止され、此のミッションは終わった
はずなのにモニターの女性科学者に頼んで
(此れを演じるヴィラ・ファミーガが知的で良い)
もう一度、娘を救うべく列車に戻る。
果たして彼女は助けられるのか?それは観た時のお楽しみ。
此のスリリングな設定の中で
アフガン戦争に引き裂かれた父親との確執や
彼が自分が死んでいる事の悔しさを見事に
演じるジェイク・ジレンホールは
「遠い空の向こうに」「デイ・アフター・トゥモロー」
それに英国アカデミー助演賞受賞の
「ブローバック・マウンテン」の実力派俳優。
此のちょっと間違えば嘘っぽいシナリオに現実感を
持たせた演出は監督2作目のダンカン・ジョーンズ。
此の監督こそ、あのデヴィッド・ボウイの息子。
親の名前の重圧に耐えて良く育ったものだ。

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