穴 HOLES (2003)
此の映画、劇場未公開である。
BSのDlifeという無料チャンネルで観た。
「エイリアン」のシガニー・ウィーバーや
「真夜中のカーボーイ」のジョン・ボイド等の
芸達者が脇を堅め、此の後
「トランスフォーマー」や「インディ・ジョーンズ」で
ブレイクする若手俳優シャイア・ラブーフが
まだ少年役で主役を務める。
でも此の映画の面白さはルイス・サッカーの原作だ。
なんと児童小説だというのだが
幾つかの寓話の積み重ねに観るものは
最初、戸惑うが、映画の進行に連れ、
それはジグソーパズルが繋がって行く。
それは実にアメリカの歴史だ。
アメリカ大陸に渡った移民の4代に渡る家族の物語
恐らく文章では、それほど奇妙な感じはしなかったろうが
映画の冒頭、いきなり砂漠に掘られた無数の穴は
ビートルズのアニメ「イエロー・サブマリン」の
1場面、穴の海を連想させ
何とも不条理な映像として強いインパクトがある。
不条理と云えば、たかがスポーツ選手の
スニーカーを拾っただけで、窃盗犯にされ
砂漠のド真ん中の更生施設に送られた少年の
心情は不条理以外の何ものでもないだろう。
意味も無く、更生教育として毎日、穴を掘らされる
その強制労働も何処かおかしい。
施設は大人の刑務所の様な塀こそ無いが
逃げても広大な砂漠に河も泉も無く
毒を持ったトカゲや禿鷹の餌になるという恐怖感。
例えれば或る日、主人公が突然逮捕され死刑になる
カフカの小説「審判」と同じ設定だ。
児童小説ながら、そんな哲学的な要素も含んだ
ルイス・サッカーの原作に惚れ込んで映画化権を取り
製作も兼ねた監督アンドリュー・デイヴィスは
ハリソン・フォードの「逃亡者」やトム・クルーズの
「コルテラル・ガメージ」等のアクション映画を得意とする人。
それでも此の行き場の無い暗い話を、少年達のユーモアと
ほのぼのしたテンポで明るく展開して行く
監督の狙い=演出は成功している。
特に主役の男の子と、ゼロというチビの子の友情を
さりげなく描き、その両子役の演技の巧さに舌を巻く。
他にも悪役を演じる名優達の誇張した演技は
此の物語の悲惨さを、笑いに転化させ救っている。
此の作品、ディズニー映画らしく、学校の教材にも
使えそうな心温まるラストへと導くが、私には
アカデミー賞に何部門かでノミネートしたい位の完成度に思える。
監督アンドリュー・デイヴィス、会心の出来ではないか?
此れほどの佳作が日本で未公開
殆どの人が観られないのは不思議でならない。


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