2014年7月24日木曜日

向田邦子x久世光彦ドラマ傑作選
此の2人は余程、相性が良かったのだろう。
脚本家と演出家のコンビで互いに花開いた。
特に久世は彼女のシナリオが無かったら日本TV史上に
名を残すディレクターに成り得なかったかも知れない。
2人の濃密な関係は久世の「触れもせで」というエッセイ集に
書かれているが、まさに”触れもせで”
それ以上の強い絆で結ばれていた様に思える。
向田の自伝的な家族の風景は「あ・うん」に描かれ
TVシリーズ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」でも
下町の銭湯や墓石職人の家族に昔ながらの
愛情や人情を風景として懐かしく盛り込んでいた。
そして軍人を父に持つ、久世の家族の風景も
”終戦記念日ドラマ”シリーズで描けたのは
2人の生まれ育ったのが、
昭和と云う同じ時代だったからだろう。
それらのドラマに共通して云えるのは
太平洋戦争前後の混乱期に少しでも自分らしくと
懸命に生きた人々の姿を描いている処だ。
そこには彼等の父や母の姿を映していたのだろう。
そのドラマには向田のセンチメンタルな陰の部分と
久世のコミカルな陽の部分のバランスが
”面白うて、やがて哀しき”
絶妙なハーモニーと成っていた様に思える。
今や、それらのドラマを演じた名優達も
どんどん歯が抜ける様に消えつつある。
それでもこうしてDVDで何時でも観れるのは有り難い。

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