2013年1月28日月曜日

(日本映画・男優編)
三島雅夫(1906~1973)

彼は前回の東映悪役連に入れても、おかしくは無い俳優だが
しかし、それ以上に良い役を沢山やっているので別格とした。
いや調べれば調べるほど興味深い経歴だ。
芝居好きの父親の影響で早くから演劇の道へ。
しかし入った劇団が左翼思想の強い処だったので
検挙され投獄され出獄するも家庭は崩壊してしまう。

戦後も演劇を続けていたところを、女優・東山千栄子から俳優座に誘われ
劇団の幹部として活躍、それから映画にも出演し
伊藤大輔の「王将」小津安二郎の「晩春」成瀬巳喜男の「おかあさん」
等で脇役俳優としての確固たる地位を築く。

特に久松静児の「警察日記」での地方警察署長役は
とぼけた人情味に溢れる演技で私の記憶に残っている。
しかし先に書いた様に東映時代劇では極悪非道な悪役を
したかと思えば別の作品では人の良い殿様役と
善悪両方を起用に演じ観る方は混乱した。
他に社会派の作品では
今井正の「キクとイサム」や新藤兼人の「第五福竜丸」
そして小林正樹「人間の条件」と掘り下げた渋い役を演じ
日活では今村昌平の「豚と軍艦」でヤクザの組長
大映の川島雄三の「雁の寺」では若尾文子を妻にしている僧侶と
まさに奇々怪々、様々な役を演じられる怪優の1人であつた。






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