2012年6月26日火曜日

スリー・デイズ:ポール・ハギス
もう消えてしまったがMobileMeのサイトで
主演のラッセル・クロウは
「グラディエイター」「マスター&コマンダー」そして
監督のポール・ハギスは「クラッシュ」で紹介していたが
再度、お薦めの映画を観てしまった。
この「スリー・デイズ」(2010年)である。
フランス映画「すべて彼女のために」のリメイク作品だが
2年続けてアカデミー作品賞の脚本を手がけた彼の才能は
此の映画を別の魅力として生き返らせた。
殺人の罪で刑務所に入っている妻の無実を信じ、
再審させようとするが証拠もなく無理だと判ると
それなら脱走させようとする大学教授の夫がラッセル.クロウ。
このインテリで学問以外に興味の無さそうな中年男が
自分の知力だけで計画を実行に移すのに観客は巻き込まれる。
タフガイでは無いから、あれこれ失敗を繰り返し
学習して徐々に脱走の手配へと漕ぎ着けるサスペンス構成とテンポは
今やハリウッドではトップの脚本家ポール・ハギス
新ボンド・シリーズ「007カジノ・ロワイヤル」「007慰めの報酬」で
観客の心をつかむシナリオの巧さは実証済み。
それに答える俳優たちが又、贅沢なキャスティング。
脱獄の難しさを教える元受刑者に
リーアム・ニーソン(「シンドラーズ・リスト」)
息子の計画に気付きながらも静かに見守る父親に
ブライアン・デネヒー(「コクーン」「F/X」)
どちらも、彼らのキャリア全てに重なった存在感をみせる。
そして本当に殺人を犯したか最後まで観客には判らない妻に
エリザベス・バンクス。
此の女優は、それまで印象の薄い役が多かったが
この作品では難しい演技を見事にこなして作品に深みを出した。
私なら彼女にアカデミー助演女優賞を上げていた処だ。
主演のラッセルの寡黙な演技は完璧で申し分無いが
とにかく端役と思われる登場人物、全てのキャラクター
人間性を丁寧に描き、そして無駄の無い構成には感嘆してしまう。
映画としては本当の殺人犯は誰なのか?伏せてあるから
カタルシスが無い!と米国では評価が分かれたらしいが
私には充分、”すべて彼女のために”と取った行動
満足するラスト・シーンであった。







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