久々にギリシャ映画に注目した監督テオ・アンゲロプロスの作品である。
2022年11月21日月曜日
バルカン音楽#25ギリシャ映画音楽
Voyage To Kythira(1984) : Eleni Karaindrou
「シテール島への船出」という邦題で公開された此の映画は
先に「旅芸人の記録」(1975)で、世界の映画界が
静かな語り口は日本の小津映画とも似て
ハリウッド製活劇とは対照的な存在だ。
音楽を担当してるのは女性作曲家エレニ・カラインドール。
テオ・アンゲロプロス作品は此れが最初だったが
相性が良かったらしく彼が自動車事故で亡くなるまで
殆どの作品にスコアを書いた。
此の歌はギリシャ演歌の様な仕立てで
民族楽器が入らなければ”コブシ”が効いて、そのまま吉幾三が歌っても
ヒットしそうだが、ギリシャがヨーロッパとアジアを繋ぐ
地理上にあることを証明している。
2022年11月20日日曜日
エドワード・G・ロビンソン(1893~1973)
監督リチャード・ブルックスが「プロフェッショナルズ」で
ジャック・パランスに言わせた革命論が面白かったので
ジョン・ヒューストンの作品だが、リチャード・ブルックスが
脚本を書いた「キー・ラーゴ」(1948)のDVDを
昨夜はボギー・コレクションから引っ張り出して。
多分観たのは約40年以上も前だから
後期高齢者の記憶では殆ど初見に等しい(笑)
それで驚いたのは此の俳優エドワード・G・ロビンソンの巧さ
悪役として此の”悪役列伝”に取り上げて居なかったのは不思議。
映画の中で監督ジョン・ヒューストンは主役のボギー事
ハンフリー・ボガードよりマフィアのボス役
ロビンソンにファーカスを合わせ
彼の暴力に翻弄される人間の弱さを見事に描いている。
その台詞は当に30年後コッポラの「地獄の黙示録」で
マーロン・ブランドのカーツ大佐が呟いた狂気と同じ。
脚本を書いたリチャード・ブルックス、やはりただ者ではない。
おっと、此れは俳優エドワード・G・ロビンソンの話だ。
彼もリチャード・ブルックスと同じユダヤ人、ルーマニア系だが
子供の頃、両親とともにアメリカへ移住している。
下積みは長かった様だが、その個性的な風貌は悪役向きで
「犯罪王リコ」等ギャング映画のボスとして欠かせない存在に。
ハリウッドの”赤狩り”に共産主義者のレッテルを貼られ
干されていた時期もあった様だ。
スティーブ・マックイーンのギャンブラー映画「シンシナティ・キッド」の
敵役も良かったが。
此の作品「キー・ラーゴ」には、その人間としての”弱さ”と
”怖さ”を観る者は感じられる。
それは彼の人を見る鋭い洞察力から来ているものと思われる。
兎に角、彼の演技は高く評価されながら生涯一度も
オスカーを手にする事は無かったが彼の死の二ヶ月後に
第45回アカデミー賞で、協会は彼に名誉賞を贈った。
2022年11月19日土曜日
プロフェッショナル (1966):監督リチャード・ブルックス
右端の黒人俳優ウディ・ストロードの話だけでなく
此の映画は良く出来ていて面白いのでアレコレ。
まず監督リチャード・ブルックスはロシア系ユダヤ人、
フィラデルフィアに生まれる。
その地の有名なテンプル大学卒業後、
自らのユダヤ人問題を扱った「十字砲火」の原作に
あのハンフリー・ボガードの名画「キー・ラーゴ」の脚本を
監督ジョン・ヒューストンと共同で書く。
その後、監督業に進出、当時社会問題となっていた
「暴力教室」で評価を得て
テネシー・ウィリアムスの戯曲「熱いトタン屋根の猫」の映画化
シンクレア・ルイス原作の「エルマ・ガントリー」の映画化では
主演のバート・ランカスターにアカデミー主演男優賞をもたらした。
その牧師なのにC調なキャラクターは”プロフェッショナル”の
爆弾男ビル・エドワースに繋がっている・・・と前置きが長いが
此の映画はテキサスの油田王が、メキシコの山賊(ジャック・パランス)に
誘拐された美しい妻(クラウディア・カルディナーレが!)を救い出すのに
その地がメキシコとの国境沿いと言う事から、
”戦うパンチョビラ”で有名なメキシコ革命に参加した元兵士達
その道のプロフェッショナル達を寄せ集める所から始まる。
相手は、まだメキシコ軍と戦っている山賊だから強敵。
砂漠を越え崖を超え、そのアジトに近付くだけでも大変。
そしてやっと、そのアジトに着いたら其処は砦の様になっていて
此処で爆弾魔ランカスターと、弓の名手のウディ・ストロードが大活躍
その人妻を救い出すはずが、彼女は山賊と幼なじみでデキていた。
だから砦から出るのを嫌がるのを無理やり運び出すも
追手がワンサカと押し寄せ、ガトリング銃とダイナマイトで大混戦
それでも何とか切り抜け、再び砂漠と崖を越えてテキサスへ。
それでも追ってくる山賊は、恋人を取り戻す為、必死。
此の場面で山賊(ジャック・パランス)が語る革命と愛の話が面白い。
流石のリチャード・ブルックス。
その頃の時代の空気を反映した台詞の数々が秀逸。
私はリーダーにリー・マーヴィン、ロバート・ライアンと
それぞれ人間味あふれる演技を魅せる贅沢なキャスティングに
「明日に向かって撃て」のコンラッド・ホールのダイナミックな画作り
サム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」に勝るとも劣らない
西部劇の傑作と思うが如何かな?
ウディ・ストロード(1914~1994)
リチャード・ブルックス監督の「プロフェッショナルズ」
の録画を観ていたら、此の黒人俳優が良い役で出ていた。
その昔70mm映画「スパルタカス」でカーク・ダグラスと戦う
剣闘士役で強烈な印象を残した彼は、今となってみれば
ハリウッドにおいてアフリカ系俳優に道を開いた男。
オスカーを取ったシドニー・ポワチエ以前
彼等は役に名前すらない召使いぐらいの扱いだった。
それがスタンリー・キュブリック監督のキャスティングで
ウディ・ストロードのその鋭い目と筋肉質の見事な身体に
剣闘士の役を与え、更に奴隷解放のアイコンとなる
ドラバ役に抜擢したのだ。
まあ、それ以前にジョン・フォードの西部劇「バッファロー大隊」でも
彼は黒人ながら騎兵隊員で、殺人の濡れ衣を着せられる役を
演じていたが、兎に角、彼の存在が無かったら
デンゼル・ワシントンもウィル・スミスも主役を張る事は無かったろう。
私の記憶では同じジョンフォードの「リバティ・バランスを射った男」の
他にも数々の西部劇に印象的な役で出演し
珍しい役では、アラブ人で「ワイルド・グラック2」で
乗馬の巧さを披露していた。
先日、紹介したサム・ライミの西部劇「クイック&デッド」にも
チラッと棺桶屋役で登場して年老いていたが、その鋭い目で
チャラチャラした主役のシャロン・ストーンを食っていた。
また、名も無いB級西部劇で彼を観れると良いな。
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