2019年1月19日土曜日

加藤治子 (1922~2015)
前回の向田邦子ドラマ「女の人差し指」で
主人公・田中裕子の母親役を演じた彼女も
今は夜空の星に成ってしまったが
私には忘れられない女優だ。
同じ向田邦子の「阿修羅のごとく」で菅原謙次と
不倫をする長女役で驚かせた。
此の「女の・・・」でも、娘の婚約者(小林薫)に
母親以上の想いを抱く、軍人の未亡人役で
凄まじい演技を見せた。
計算すると彼女は此の時、64歳!
娘が婚約者を裏切り、別の男(四谷シモン)に走った
その代わりをすべく、訪れた婚約者に炬燵で相手をする
場面の艶かしさと云ったら・・・。
勿論、演出・久世光彦は前半で、その婚約者が来るのに
娘以上に口紅を付ける母親の伏線を引いていたが、
その炬燵の場面で彼女が酒を飲むと足がかゆく成る云々の
仕草の色っぽさは、可成り以前に此れを放映された時には
気付かなかったが今,私も年を経て
久世光彦は戦時中の娘の青春を描くとともに
大人のドラマをもう一つ仕掛けていた事が分かる。
加藤治子の経歴を調べたらナント浅草SKD出身で小月冴子と同期
その後、夫と成った加藤道夫や芥川比呂志と新劇に転向
1963年には岸田今日子等と劇団雲を立ち上げたバリバリの演劇女優。
2002年には勲四等宝冠章を受章している。
「寺内貫太郎」での古風で貞節な女房役とは別な顔。
”女は灰に成るまで女”のたとえ通りに生きた女優に思える。





今朝は軽めにお粥。
七草は、もう流石に入っていないが
鶏のスープに、ご飯の代わりに残り物のおにぎりをほぐし、
更に餅迄入れ、エノキ茸、豚の味噌漬け等を放り込んだので、
ほぼ闇鍋状態。結構なボリュームに、何処が軽めじゃ!
あっ、漬物はピリ辛胡瓜に大根を混ぜて。

2019年1月18日金曜日

浦里はるみ (1934~2011)
正月の特番で又、向田邦子ドラマ「女の人差し指」を
やっていたのを録画で観た。
脚本・寺内小春とあるから既に向田邦子はなくなり
久世光彦が彼女のエッセイ等から構成したと
思われるが、若い田中裕子に小林薫、四谷シモンの
緊張感の有る芝居に魅せられた。
その中に此の女優が隣りの女で出て来た。
彼女は私に取っては東映時代劇に出て来る悪い女の代表。
しかし先日の山形勲の情婦役ながら
主人公の錦ちゃんや東千代ノ助に惹かれて寝返って
殺される人間らしい役が定番だった。
彼女は元新派の女優、それから東映に入り時代劇で年増女を演じ
着物姿の美しさで、その地位を得た。
同じ様な、千原しのぶとは演技力で勝り
美しさだけでは無い、その個性で私の記憶に残った。
私のサラリーマン時代、会社の近くに小料理屋が在って
その店のメニューの焼きそばを食べに行っていたのだが
その粋な女将が彼女と気付くまでに時間が掛かった。
その頃、彼女はスクリーンから遠ざかっていたし
あまり化粧もしていない彼女とは大分違っていた。
でも、今思えば、仲良く成り彼女から映画の話を
もっと聞けたらと今は残念に思う。
定番の鱈子定食
糠漬けは大根の皮
納豆にも、その葉を刻んで
味噌汁の具は豆腐キノコにキャベツ。
出汁は、いつもの昆布鰹。

2019年1月17日木曜日

武満徹の映画音楽 その12
怪談 (1965)'
監督・小林正樹が「切腹」の3年後、発表した此の作品は
小泉八雲の原作を元にオムニバス形式の今で云うホラー映画。
しかし、それだけでは片付けられない日本独自の
美意識のに満ちた映像であった。
そして、それに付けられた武満徹の音楽は
先の「切腹」で成功した日本古来の和楽器を
ジョン・ゲージ並みの音響設計で構成した
何とも緊張感の在る現代音楽。
此の映像と音楽の調和、というより衝突が
俗にいう怪談話を近代美術館に納入したいくらいの
芸術作品にしたと云えよう。
当時、武蔵野美術大学の教授であった粟津潔先生が
此の映画のオープニングタイトルを担当。
水に様々な色彩絵具を垂らし、その動きは
まさに”幽玄”というべき斬新な映像で此の映画の序曲として
相応しいものであった。
その映像はYouTubeには無いが映画の予告編はコチラに

今朝の目玉は
松屋デパ地下のお歳暮解体セールの鯖缶に藁筒納豆。
もちろん納豆は解体では無いが20パーセントオフ。
此れに土釜の炊き立て御飯に舞茸と豆腐の味噌汁。
昨夜から検診で又、上京。明日、六本木の心研へ。
まあ、問題はないと思うが・・・。

2019年1月16日水曜日

武満徹の映画音楽 その11
狂った果実 (1956)
今朝早くから此の映画をCSでやっていた。
原作・石原慎太郎の弟、裕次郎の実質的な主役デビューであり
また作曲家・武満徹の映画音楽デビューでもある。
クレジットには佐藤勝との共作になっている。
作品の中のモダンジャズを使った所謂劇番部分は武満徹
主題歌を含めハワイアンの部分は佐藤勝が担当したと思われる。
どちらにしても、その後、日本映画音楽作曲家を二人も使っている
贅沢な映画と言える。
戦後に登場した世界的なアプレゲールは
日本では”太陽族”と呼ばれ
それは慎太郎自身が”太陽の季節”で名づけた名前である。
此の作品はフランスへ「海辺の情熱」というタイトルで輸出され
それを観たフランソワ・トリフォーが絶賛し
後に”ヌーベル・ヴァーグ=新しい波”という
フランスの映画運動への影響を与えた作品と言われている。
そして、それらは逆輸入のカタチで
大島渚、篠田正浩、吉田喜重などの松竹ヌーベルヴァーグへ
又、此の映画の助監督・蔵原惟繕らの日活ヌーベルヴァーグとなり
それらの音楽を武満徹が担当したのが興味深い。