アガサ・クリステイ「殺人は容易だ」(2023):ミーヌ・ガウル監督作品
前後編に分けてオンエアされたものを昨夜続けて観た。
まだ英国がナイジェリアで植民地支配を続けていた時代の設定。
主人公は黒人の元警察官・・・というと
「夜の大捜査網」のシドニー・ポワチエが演じたバージル・チップスを思い出すが
こちらは若く初々しいルーク・フィッツウィリアムス。
ナイジェリアからロンドンに赴任してきたという設定。
それでも人種差別は同じで、彼の捜査に協力する白人女性との
2ショットは、観ているコチラがハラハラする。
話はロンドンに向かう列車で一緒になった老婆が
彼女の村で起こった一連の事故死は殺人の疑いがあると
打ち明けられ、直後その老婆も自動車事故で亡くなる。
彼女に頼まれた競馬の馬券が当たり、その配当金を返しに彼女の村へ。
果たして一連の事故死を調べていくうちに
それは仕組まれた殺人である事が分かってくる。
彼女の言っていた”地位のある人を誰も疑わない”の
地位のある人は村の殆どを仕切っている成金の暴君であり
その暴君に反対する者は、その後も殺されてゆく。
しかしインド女性が監督だけに有色人種への
白人社会の差別を匂わせ
長く植民地支配を続けた英国ならではの背景が浮かび上がる。
それでも謎解きにもならない分かり易い展開とみえて
実はアガサらしいドンデン返しが用意してあり最後まで楽しめる。