「荒野を生きる (1971)」:リチャード・C・サラフィアン監督作品
監督の名前に見覚えがあった。
確か「バニシング・ポイント」と言うニューシネマの傑作を撮った監督の筈
「イージーライダー」の後、ピーター・フォンダは
「さすらいのカウボーイ」を撮った様に
此の監督もカーチェイス・ロードムービーの後の西部劇!
しかも、それ迄に観たことの無い様な
勧善懲悪とは程遠い展開。
実存主義的とも言うべきか?
先ずオープニングの画像が揺れる十字架。
何とそれは荒野を走る船のマストだ。
西部開拓時代に毛皮商人が獲った毛皮を河で運ぶ為、
船の下に車輪を付けて幌馬車の様に馬に引かせているのだ。
荒野で船を運ぶのはドイツの奇才監督
ヘルツォークの「フイッツカラルド」を
連想させるが、それはずっと後だ。
主人公(リチャード・ハリス)は狩人で、
その幌馬車隊の中に居たが、
熊に襲われ瀕死の傷を負う。
商人の隊長(ジョン・ヒューストン)は
助からないから殺せ!と命令する。
しかしそこに先住民族が現れ、命令された隊員は
彼を置いて逃げてしまう。
それから息を吹き返した彼の生き延びる為のサバイバルが凄まじい。
生と死、ギリギリの間を生存本能だけを頼りに生き抜く男に
神も仏もない。聖書も火を作る材料の紙でしかない。
冒頭の十字架や聖書とは関係無く、此の男の実存性を問う作品なのだ。
半世紀以上も前に観た「バニシング・ポイント」も
ベトナム戦争帰りの車の運び屋が、
大陸を横断する内にスピード違反で警察に追われ、
本来の目的を見失う話だった。
当時のアメリカの体制対個人の状況を見事に描いていた。
その次回作が此れだったのに私は観てなかった。
"アメリカン・ニューシネマ"と
"ヌーベル・ヴァーグ"
何方も私の血となり肉となって今の私がある。
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