「黒い試走車」(1962):増村保造 監督作品
此の監督は東大法学部卒業後、大映に助監督として入社した。
しかし東大文学部哲学科に再入学
当時、大映は「羅生門」「雨月物語」がアカデミー賞、ヴェネツアで金獅子賞に
社長・永田雅一は此れからは世界に通用する作品をと増村のイタリア留学を許した。
ローマのチネチッタ撮影所で、フェリーにやヴィスコンティの演出を
間近に見て帰国後、溝口健二や市川崑の助監督を経て「くちづけ」でデビュー
若尾文子をクラウディア・カルディナーレに見立てて
「青空娘」「妻は告白する」と成功する・・と前置きが長くなったが
この「黒い試乗車」は梶山季之のベストセラーの映画化
当時は珍しかった”産業スパイ物”である。
「悪名」の”モートルの貞”で人気の出始めた田宮二郎主演。
黒のイメージを強調するモノクロ映像にスタイリッシュな構図が
今観ても現代的で素晴らしい。
船越英二や叶順子などのキャステイングも良く
原作をスリラーとした展開が面白い。
当時の高度経済成長の企業戦士の会社への忠誠心は
今では無いかも知れないが日本人の”葉隠思想”に基づく。
そして其れは「陸軍中野学校」に続く。
此方はエリート将校候補を選抜しスパイ養成”陸軍中野学校”を
設立するまでの話であある。
主演は大映のエースながら何処か”影”のある俳優と言われた市川雷蔵。
此方も”お国の為”という理由で恋人(小川真由美)まで騙す
非情な男を虚無的な表情で演じた。
その中野学校を開設する軍人に東宝から借りた名優・加東大介。
彼に集められた”エリート将校候補”が心酔するする場面を
無理なく見せるのは監督・増村保造の演出力。
暫くはBS12の”増村保造特集”を録画しなくては!
0 件のコメント:
コメントを投稿