2025年5月17日土曜日

丹波哲郎 (1922~2006)
この俳優はStaedust Memoriesに出しても良かったが
まあ、余りにも普通の俳優では無いので・・・。
昨夜見た「家政婦は見た〜第7作
「華麗な一族の怪しい秘密 財テクゲームの危険な落し穴」(1989年)
の再放映に、相場師・金三役で出ていた。
”貴女と私は似ている”と市原悦子を口説く役は
何処までが彼が本気か嘘か分からなくピッタリ。

業界では遅刻と台詞を覚えてこない常習犯として
そしてまた態度の大きい俳優として有名だった。

昔、私は残業で遅くなり、新宿の会社から中野坂上まで
タクシーを使ったが運転手が新大久保通りで
”丹波哲郎さんの実家は此の辺りから、その先までの
土地を持っていたそうですよ!”と。
”ファミリーヒストリー”では無いが
彼の先祖を遡ると天平時代まで繋がっていると。
虚言癖が有ったから何処までが本当か分からないが
兎に角、彼の言葉は演技以前の説得力があり
あの偉そうな雰囲気で話されると誰もが納得せざる得ない。
終戦直後GHQで通訳をしていたらしいが
本人は余り英語は得意ではなかったと。
それいて「第七の暁」「007は二度死ぬ」と国際スターとして
足跡を残しているのは英語が得意じゃなきゃ無理。
イタリアにも呼ばれマカロニウエスタン「5人の軍隊」では
イタリア語の台詞を覚えるのが嫌だからと
声の出ないフリをする日本人で通し最後に一言喋り
なんだ、声は出るんじゃ無いか!と。
そして見せ場は汽車から落ち、山を越えて走り
その汽車にまた飛び乗ると言うアスリート並みの演技をした。
それから今村昌平の「豚と軍艦」では
胃癌と宣告され、汽車に飛び込もうとするが
いざとなると恐ろしくなり脇の電信柱にしがみつくと言う
スリリングな演技もしている。
後でレントゲン写真は違うやつの物と別るのだが。
兎に角ふだん偉そうにしているから三枚目も笑いが取れる。
晩年、映画「人間革命」に出演前後から
彼は”心霊界”なるものに凝り
死後の世界が見える・・・とオカルト的な方向へ。
まさに”怪優”に成ってしまったが
あの顔と声で何やら唱えられたら誰もが催眠術にかけられてしまうだろう。
死んでから分かった事は彼は実は無宗教。
だから戒名も無かったらしい。

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