2025年4月17日木曜日

「続・悪名」(1961) : 田中徳三監督作品
「続・悪名」(1961) 田中徳三監督作品
興行主から市川雷蔵に比べ、勝新太郎の映画は当たらんと
言われた彼の映画は此の「悪名」でやっと芽が出た。
そうなると続編ということで話は殆ど前作の続き。
それでも東映の任侠路線より先に大映でヤクザ映画が作られた。
ただ違うには切ったはったのドスが舞う鶴田浩二や高倉健の映画と違い。
河内の朝吉はドスは持たない、相手がドスを持っていても
身体をかわし、ひたすら殴って相手をぶちのめす。
それはモートルの貞(田宮二郎)とて同じ
その心意気に惚れて女が寄ってくる。
此の頃の大映には綺麗な女優が沢山いた。
浦路洋子、長谷川希子、藤原礼子
いずれも此んな女に惚れられたら男はたまらない。
案の定、本妻(中村玉緒)に焼きもちを焼かれる。
其れでもできた本妻は
”アンタあの女(水谷良重)を送っていきなはれ"と因島まで行かせる。
水谷良重は朝吉への想いを断つために因島の3人の子持ちの男に嫁ぐのだ。
その海辺のロングショットを見まもる浪花千栄子と朝吉の場面が良い。
東映の任侠映画に無い女性が描かれる。
そして前作で朝吉に痛ぶられた吉岡の親分(山茶花究)を救うため
沖縄の源八(上田吉二郎)に殴り込みをかける。
そうするうちに出てきた松島一家の親分(中村鴈治郎)
この辺りの役者は日本映画の黒幕。
出てくるだけで彼らの腹芸が見られる。
そうこうするうちに朝吉に赤紙(召集令状)が来てしまい。
その夜、朝吉とモートルの貞は
お互いの手を掴み”必ず生きて帰って来てや"と
此の場面に涙しない者は居ないだろう。
その直後、女房と相合傘で帰る途中
刺客に襲われモートルの貞は死ぬ。
此の場面、その傘を俯瞰で狙ったカメラ(宮川一夫)で
モートルの貞が倒れるのだが
此の映画で唯一、血が流れる。
考えれば座頭市であれ程、血飛沫を浴びながら切りまくった
勝新太郎は、此の時点では随分おとなしい殺陣だったのだな。
それと最後に召集令状で丸坊主頭になった勝新は
此の時、「座頭市物語」(1962)の準備をしていた訳だ

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