御家人斬九郎 妖剣・雲隠れ
いつも息子の斬九郎を奴隷のように虐める母親・岸田今日子が、
今日は青空を見てやけに優しい。
おかしいな?と思ったら、夢だったと言う寅さん映画の様な出だしは
TV座頭市にもよく書いていた脚本の中村努の遊び。
主役の斬九郎の渡辺謙は芝居が大きくて私は苦手だったが慣れて来た。
相変わらず居酒屋の親父役の巧い俳優の名前が気になる。
俳優と言えば最近見ないが伊原剛志がこの回のメインゲスト。
彼は在日を隠しもせず活躍している私の贔屓の俳優。
妻と娘を殺された仇を追う浪人の役を妖剣・雲隠れを使い怪しげに演じている。
その仇の江戸家老を麿赤兒が憎々しく面白く演じている。
相変わらず斬九郎の恋人蔦吉役の若村麻由美がきれいだ。
此の頃の若村は本当に美しい!
結局、斬九郎は江戸家老に蔦吉迄人質にされて
怒り浪人の仇討ちを手伝うが、そこに乗り込む途中、江戸の町を台風が襲い、
それに慌てる市井の人々を広重の浮世絵の様に描いている
監督・原田徹の遊びが楽しい。
原田徹は日本の名監督の助監督を務めた後、
文化庁の研修員としてハリウッドに渡ったエリート。
大映からローマのチネチタ撮影所に監督留学した増村保造と同じ。
時代劇の面白さを外からの目線で見ていて面白い。
だからラストに椿三十郎みたいな決闘のオマケも付けて大サービス。
此のシリーズは既に終わって再放映だが
京都太秦の守神の美術・西岡善信が素晴らしく
時代へ見事にタイムスリップした気分にさせてくれる。
もう彼は亡くなってしまったが時代劇は大丈夫かな?