「ロイ・ビーン」(1972) : ジョン・ヒューストン監督作品
此の映画を観たのは封切り試写会で私は20代半ば
それから半世紀以上も経っている訳だから
ほとんどディテールは覚えていない。
ロイ・ビーンは実在の判事らしい。
しかし脚本が、後に「ビッグウエンズデー」を撮ったジョン・ミリアス。
彼はフェミニストの逆、サム・ペキンパーと同じ”女嫌い”である。
登場する女性を娼婦あがりと軽蔑しまくる。
しかし理想の女性はリリー・ラングトリーと言う美人大女優。
後生大事に彼女の大きなポスターを自分の酒場の名前にし
裁判所の壁に貼っている。
その切ない片想いは「無法松の一生」「ラムの大通り」である。
「マルタの鷹」「黄金」と数々の名画を撮った
天才監督ジョン・ヒューストンと
アクターズ・スタジオ出身ながら
ジェームス・ディーンやマーロン・ブランドに出遅れたものの
「ハスラー」「暴力脱獄」そしてアメリカ・ニューシネマの
スターとなった名優ポール・ニューマンの二人が出逢えば
こんな作品になるのだ言わんばかり
ポール・ニューマンは此の映画の後日談に兎に角、
楽しい撮影現場だったと。
何せビール好きの大きな本物の熊が共演者だからね。
牧師役アンソニー・パーキンスやネッド・ビューティー
と芸達者な脇役を揃え
(敵役のロディ・マクドウォルが憎々しい)
ロイ・ビーン憧れの大女優にエヴァ・ガードナー
そしてロイ・ビーンの娘にジャクリーン・ビセットに囲まれ
何処までが脚本通りで何処までがアドリブかわからない程
滅茶苦茶な展開は監督ジョン・ヒューストンの思う壺。
ラストにヤクザ映画の様なスペクタクルな”落とし前”は
脚本ジョン・ミリアスならではのカタルシス。
「明日に向かって撃て」を思い起こさせる主題歌を含む音楽は
当時売れっ子のモーリス・ジャール。
この”ヒューストン&ニューマン”にモーリス・ジャールのトリオは
此の後、直ぐスパイ・アクション「マッキントッシュの男」を
作っているが、余りヒットしなかったな。