2023年10月9日月曜日

「CURE」1997:黒沢 清監督作品
”怖いもの見たさ”という言葉もあるが
私はホラー映画が大嫌いである。
CM監督時代に迫力満点の大型テレビとかで
ホラー映画を見て興奮するカップルを演出するために
何本か「悪魔のいけにえ」とか見たが笑ってしまい
後味も悪かったからである。
それでも”ハロウィン”も近い事だしと録画してあった
此の作品を観てみた。

ある精神分析の医学生が催眠療法を突き詰めていくうちに
殺人鬼となるストーリィ。
物語は、その医学生が行く先で、必ず殺人事件が起こり
彼は手を下していないが、誰かが誰かを殺し
首にXの切り傷を残して行く。

心に病気を抱えた妻を持つ刑事は、その医学生が犯人と
突き止めるが、その動機と方法が見つからない。
医学生は火(ライター)や水(水道)を使った催眠術で
その人間の心の奥底にある憎悪の様なものを引き出す
つまり、唆(そそのか)すのだ。

名探偵ポアロの最終回「カーテン」は自分の死を悟ったポアロが
心理的殺人教唆を楽しむ犯人を事もあろうに毒を持って殺す。
そしてそれが名探偵ポアロのカーテンの幕引きとなる。

此の映画では”ネタバレ”になるが
刑事役の役所広司が、その医学生を殺したものの
それに感染したかの様に、他人(ヒト)を唆(そそのか)し
連続殺人を受け継ぐ
”ミイラとりがミイラになる”話である。
刻々と心理的に追い込まれていく役を
日本ではCMばかり出ているタレントだが・・・。
鬼気迫る表情で演じた役所広司は此れで
今村昌平監督の「うなぎ」に続き海外で高い評価を得る。

映像的には、あのヴィム・ベンダースの初期の作品の様に
日常的ながら乾いた風景にドロドロした血が溢れ
観るものは心が凍りつく。
やはり私はホラー映画は苦手だ。

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