「馬と呼ばれた男」(1970):エリオット・シルバースタイン監督
「小さな巨人」と期せずして此の作品は同じ年に作られている。
白人が拉致され先住民族として生きるというプロットは全く同じ
ただ此方はその時、子供でなくて既に大人
しかも英国貴族が従者を連れて西部へ狩りに来たところで
スー族に襲われ、従者は皆殺され彼だけ?金髪ゆえか
珍しがられ”お前は馬だ”と全裸で首に縄を掛けられ彼らの
集落に連れて行かれる。
貴族だった彼が全裸という人間の尊厳まで奪われて
家畜として薪集めなどの労働をさせられるが
逃げる機会を窺っている内に彼同様、白人の血が混じった呪い師と出会い
解らなかったスー族の言葉も通訳してもらい、徐々に部族に馴染んでいく
そして酋長の妹に惚れて、彼女を得るには如何すれば良いかを学ぶ。
という具合に子供だった「小さい巨人」のダスティン・ホフマンと違い
成人でしかも屈強な成人のリチャード・ハリスは此の時40歳
プロのラグビー選手候補だったが結核を理由にハネられ俳優の道へ。
回り道をしたから映画デビューは30歳と遅いが、その見事な肉体美を
此の映画では、やたら見せてスー族族の娘達を夢中にさせる。
しかし酋長の妹を娶るには過酷な試練が待っていて
先住民族研究家ジャック・デヴィッドの書いた脚本は嘘か真か
スー族全員が集まったテントの中で彼が耐えなければならぬテストは殆どSMショー。
ポスターの宙吊りは胸に刺さった釘2本という残酷さ。
これの一昼夜を堪えた彼は見事に彼女をモノに出来る。
でも、そんなハッピー・エンドは西部開拓史に無い。
敵対する部族にスー族は突然襲撃され部族は絶対のピンチ
彼の貴族の戦い方の機転で敵を追い払うものの、妻は子供共々絶命
・・・と「小さな巨人」並みに波乱万丈の主人公だが
脚本がネイティブ・インディアンの儀式に拘り過ぎ
その割にネイティブなのに白人女優の顔を黒く塗っただけ
リチャード・ハリスの人間性の追い方も平凡。
アメリカンニューシネマの旗手アーサー・ペンの実力と
此の監督エリオット。シルヴァースタインの時代感覚の差か?
0 件のコメント:
コメントを投稿