「友よ チング」(2001):クアク・キョンテク
見逃していた此れを韓国映画コレクションの中に見つけた。
4人の少年時代から始まる此の友情物語は
その後、高校生になっても続くが、途中から激しい展開を見せる。
主役となるのはヤクザの息子と葬儀屋の息子
そして勉強好きなヤツと人の良いヤツ。
それぞれの性格が少年時代か見事に描き分けられて
まるで藤沢周平の「蝉しぐれ」の序盤を思わせる。
しかし蛙の子は蛙、ヤクザの子は高校生の時から番長に
葬儀屋の息子も家業を嫌って番長2番手に。
他校との喧嘩に明け暮れ、勉強の出来るヤツや人の良いヤツのピンチを
番長2人が救う。まさに若さの躍動感がダイナミックに描かれる。
4人友情は、いつまでも続くと思われたが、
番長は本物のヤクザになり、葬儀屋の息子は
しがらみで、それと対立するヤクザにと道は分かれてゆく。
此のプロットは坂本順治の「新・仁義なき戦い」の豊川悦司と布袋寅泰に似ている。
韓国のヤクザも日本のヤクザも中身は同じの裏社会。
仁義なき戦いで、どんどん二人の対立は深まる。
しかし彼ら二人には、どこか通い合う絆がまだ有った。
映画の中でも解説される"チング=親旧"は
日本で言う"親友"の事だろう。
4人は事あるごとに集まり旧友を温め合うが、
ヤクザ2人は、それも出来なくなり、破局へと向かう。
日本と同じ韓国の時代を捉えた懐かしい情景描写に、
キャスティングの巧さで俳優たちの迫真の演技に観客は引き込まれる。
映画は、ラストに又4人の少年の海水浴の場面に戻り
大きな浮き輪に繋がった少年の一人が呟く
「俺たち遠くに来すぎた、早く戻ろう!」という台詞が
此の作品の主題 "帰りこぬ青春”全てを物語っている。
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