2021年2月3日水曜日

「チャイナタウン」(1974):ロマン・ポランスキー監督
此の映画を私はL.Aの映画館で封切りで観ている。
当時、私は28歳。
映画の背景も1930年代のロサンゼルス。
仕事で行っていたから、そのコーディネーターに頼んで
映画に登場するロケした場所へ連れて行って貰った。
開発が進んだL.Aは30年代の建物や風景が残っているのは
珍しいとの事だった。
此の映画はジャック・ニコルソンが昔の仲間の脚本家
ロバート・タウンと組んで
あのシャロンテート事件以降憔悴してヨーロッパへ戻っていた
ポランスキーを呼び戻し、監督させた作品である。
内容は正しくレイモンド・チャンドラーの世界
ハードボイルドの探偵物、フィルムノワールである。
ノワールと言えば、ファムファタール(運命の女)が要る。
それを当時、女盛りのフェイ・ダナウェイが演じた。
此のキャスティングだけで成功する筈だが
さらに米国映画のレジェンド監督
ジョン・ヒューストンが俳優としてコアとなる役を。
話は探偵事務所に浮気の証拠写真を撮って欲しい依頼人が来る
その冒頭から観客は、その世界に巻き込まれる。
その依頼が一筋縄で行かないのも定番
調べるうちに、その奥にはロスの水道局の汚職が絡み
殺人事件が起き、ジャックニコルソン演じる
私立探偵ジェイク・ギテスは、その黒幕が雇った
ヤクザに鼻をナイフで切られる。
此のヤクザを監督ポランスキーが自ら演じて
それが先のシャロンテート事件を想像させて自虐的で怖い。
そして、もっと怖くて悍(おぞ)ましいのは
此の事件の人間関係、とても私からは言えない。
ネタバレにもなるし。
そんな苦い終わり方もチャンドラーの世界
いや、それを再構築した脚本家ロバート・タウンの才能。
彼は此れで1975年のアカデミー脚本賞を取っている。
特筆すべきは助演賞をとっても不思議はない
フェイ・ダナウェイとジョン・ヒューストンの演技。
そしてL.Aの闇を見事にスコアにした音楽ジュリー・ゴールドスミス。
此の作品「黄昏のチャイナタウン」という続編も出来て
それも1作目の後日談として結構、楽しめる。
オンエアは来週火曜日のBS-TBSの9時だったかな?

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