2021年12月26日日曜日

その2”セールスマン”
現在、我が家にある常設電話にFAXは付いていない。
此処は海の側だから塩害で機器類は3年と持たない。
それで此の留守番電話専用一番安いFAX無しにした。
今はメールで文章から画像もおくれるからね。
しかし40年前ぐらいは、そのFAXすら普及していなかった。
CMの制作会議にプロダクションまで出掛け
決定した演出コンテをコピー機で刷ってもらっていた。
これもその頃の話だ。
その日も、あるプロダクションから出たところで
激しい夕立が降って来た。
その頃、よくコンビを組んでいたカメラマンT氏とは
次に行く別のプロダクションの打ち合わせも一緒だったので
とりあえず喫茶店へ入り雨の止むのを待つことにした。
コーヒーを飲みながら私が
”しかし一々、コンテを貰いに行くのに
プロダクションというのは不便だね。
今はFAXという便利なものがあるんだから、
それで用は足りるはずだね”
T氏も当時はスティール&ムービーの売れっ子カメラマン。
”そうですね、事務所に居れば他の仕事が出来る”と
”でもFAXって今幾ら位なんだろう”と私。
すると以前から後ろに座っていた男がいきなり立ち上がり
”すいません、お話が聞こえてしまったもので
私はこう言うものです”と名詞を差し出した。
それにはFAXの会社の販売員の誰それと。
”此処へ失礼していいですか?”と4人がけの椅子の1つに
ズーズーしく割り込んできた。
呆気にとられる私達にの前に、分厚い鞄からカタログを取り出し
”此れは簡単な機能で使いやすく幾ら
此れは少しお高いが更に便利でコピーも出来る云々”と
立て板に水の様に喋りまくり
”これからはFAXの時代ですよ!”
”あっ雨も上がりましたネ”と決め台詞を残し去っていった。
残された私とT氏は
”なんだアレ?”とカタログを前に笑い転げた。
後日、 撮影現場で再開した私とT氏は
”どうFAX入れた?””うんうん入れた!”で又笑い転げた。
その頃のFAXは今のプリンターの倍ぐらい高さが有り
私の事務所では場所を取り、早めにFAX付き電話に代ったが
あのセールスマンには本当に、ヤラれた。

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