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「刑事フォイル」第41回 反逆者の沈黙
また新しくBS-2で始まった此のシリーズが相変わらず好調だ。
前回まで大戦中だったが今度のシリーズは戦後。
我々日本人には情報の少ない当時の英国で
起こった事件を解決して行くらしい。
南東部の港町のヘイスティングスが舞台。
今回は"英国自由軍団”という英国から共産主義と戦うために
志願して戦中ナチスに協力した若者がいた事を知らされる。
当然、彼等は国を裏切った者として裁かれる訳だが、
主人公のフォイルは、冒頭でそれまで勤めた警視正を辞めて
自由の身となるも、その英国自由軍団だった男が
国家反逆罪で死刑になるのを何故か弁護しようとする。
更に1人の若い女性が殺され、それとの関連を調べて行く。
基本的に”刑事物”だから、殺人事件の”犯人探し”と”謎解き”は
毎回の事だが、今回は英国自由軍団の男が
自分の弁護を一切せず、死刑になるのを望んでいるのが謎だ。
そして何故、警視正でなくなった筈の主人公フォイルが
此の事件を執拗に追うのか?が物語のコア。
その死刑を望む男を演じるのが此のところ
「SHELOCK」のモリアーティ役や「007ススペクター」での悪役で
目立っているアイルランド出身の演技派アンドリュー・スコット!
"此処からネタバレ"
彼の役は戦時中、英国自由軍団としてナチスに身を売ったと思わせ、
実は祖国に情報を送っていた男の役。
だから裏切り者ではなく愛国者だったというわけ。
その情報を送っていた相手が殺された女だったのだ。
何故、そんな組織に参加したか?
それは彼が少年の時、実の父親が、彼のピアノ教師と母親の仲を嫉妬して
母親を殺す現場を見てしまったからだ。
好きだったピアノ教師は父親に泥棒の汚名を着せられ獄中で死んでしまう。
愛する人を二人も奪われた彼は、
先の組織に参加して父親に復讐したわけだ。
復員しても目的の無い彼は死刑にされる事を望んで弁護を拒否する。
留置所でのフォイルの説得に、
彼が語る記憶の中での美しい母への想いに、
観るものは必ずや貰い泣きしてしまうだろう。
アンドリュー・スコットの演技が素晴らしい。
そしてフォイルが彼を弁護する本当の理由は、
先の戦争で彼の母親と、傷病兵と看護婦として出会い、
彼は彼女を愛していたからだと告白するドラマチックな展開。
此のシリーズで過去とはいえフォイルの恋が描かれるのは、とても珍しく
その彼女への想いをほとんどを無表情で淡々と語る
フォイル役マイケル・キッチンの巧さには参ってしまう。
やはり此のシリーズは見逃せない!