2019年1月14日月曜日

西村晃 (1923~1997)
昨夜のファミリーヒストリーで堺駿二を取り上げ
彼は脇役専門で成功したと、息子のマチャアキが言っていた。
西村晃は悪役列伝で紹介した様な気がしたのだが、まだだった。
まあ、晩年はTVの「水戸黄門」シリーズで
悪役のイメージは拭われたが、
それまでは時代劇、現代劇を問わず
殆どが悪役か卑怯な役ばかりであった。
しかし悪役というのは確かな演技力が無ければ出来ないものなのだ。
それより此の俳優の生い立ちやキャリアが
前回の山形勲に負けずとも劣らず凄い。

彼の父は日本で初めてのロボットと言われる學天則を作った
北海道帝国大学教授・西村真琴。
だから「帝都物語」(1988)で彼は學天則の前で父の役を演じている。

そして此の特攻隊員の写真は
何と、役ではなくて彼の若い時の本当の写真。
彼は特攻に行く筈だったがギリギリの終戦で助かった生き残りなのだ。
戦前の日大芸術学部時代から舞台に興味を持ち
戦後復員してから様々な劇団に参加し
1964年に、あの岡田英次、木村功らと劇団青俳設立する。

 
彼のバイオグラフィーを語り出すと
これ又、山形勲と同じくらい様々な映画賞総なめの作品群。
私の記憶に残っているのは集団時代劇の傑作と言われる
工藤栄一監督の「十三人の刺客」そして「十一人の侍」
此のどちらにも出演していたのが彼。
特に後の方では黒澤明の「七人の侍」の宮口精二を彷彿とさせる
剣の達人になり活躍するが、
次々と替えていた刀が無くなり、慌てる様子が
彼ならでは演技で笑わせたものだ。
 
それから今村昌平の「赤い殺意」の春川ますみの夫役。
家に強盗に入った男に犯された挙句、着いて行ってしまう妻に
その証拠写真を突きつけ、此れお前でねか?と
問いただすと、私だったらどうすんです?と
開き直られた時の彼の演技が最高だった。
川島雄三の「幕末太陽伝」、今村昌平の「豚と軍艦」山本薩夫の「忍びの者」と
兎に角、人間の弱さ哀しさを、彼ほど的確に演じられた俳優は居ないだろう。
 
まあ、残念ながらTVの水戸黄門では、
そんなものは必要無かったが、
先に言った様に悪役専門役者の汚名は濯げた。
晩年の彼の映画で面白かったのが
"仁義なき戦いシリーズ"の「北陸代理戦争」に登場した土地のヤクザ。
得意な東北訛りで勢力争いから雪降る海岸に首まで埋められ
リンチにあう場面は、残酷な場面ながら笑えてしまうのが彼らしかった。

そんな訳で、日本のブルーリボン賞やカンヌなどの外国の映画祭で
賞を取った作品に出演していた数では、
恐らく彼は歴代ナンバーワンなのでは無いか?
それだけ日本映画の名監督たちに
"此の役は西村晃しか居ない!"と愛され、その期待に見事に応えた役者だった。



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