武満徹の映画音楽 その5
乾いた花 (1964)
石原慎太郎の短編小説を篠田正浩が映画化した。
先に「乾いた湖」を発表し、大島渚、吉田喜重などとともに
松竹ヌーベルバーグと呼ばれてから9作目に当たる此の作品は
彼の才気溢れる演出力が全編みなぎり
特に主演の加賀まりこの不思議な魅力と池部良の
戦後世代ヤクザのニヒルさは、当時の日本映画の傑作と言えよう」。
篠田正浩には「乾いた湖」以来、全作品の音楽を任された武満徹は
映画のクライマックの殺人場面に
英国バロックの天才作曲家ヘンリー・パーセルの
オペラ「ディドとエナアス」を使い
作品の主題である”エロス&タナトス=愛と死”を
見事に表現している。
蛇足ではあるが、池部良は此れ以降、東映ヤクザ映画
「昭和残俠伝シリーズ」で高倉健の最後の切り込み場面に
”ご一緒願います”と助っ人として同行して人気が出た。
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