2017年9月11日月曜日

「シェフ・三ツ星フードトラック始めました」(2014)
此の”キネマ通り”で先に「二ツ星の料理人」を
面白いと紹介したばかりだが
タイトルの星の数は三ツ星三だから此方のが多い。
作品も優劣つけ難いが、此方の方がコメディで楽しめる。
いわゆる流行りのグルメ映画である。
主人公はL.A.の一流レストランの料理長。
これを演じるのがジョン・ファヴロー。
(ポスターの真ん中にいるデブで髭のオッさん)
彼は監督・脚本と、まさにチャップリン
いや、クリント・イーストウッドだな。

シェフとして研究熱心な彼は
店に有名料理評論家が来るというので
試作を重ねた新作料理を用意していた処
オーナー(ダスティ・ホフマン)に固定客用の
オーソドックなメニューをやれ!
そうしないと、お前はクビと言われ
そのまま厨房を後にする。
ところが今はSNS時代、やって来た評論家に
その場で、進歩がないとTweetで酷評され
頭にきた主人公は店に戻り、その評論家に悪態をついて反撃。
それを又面白がった客たちに、動画で撮られ
ネットに拡散され、彼は失職のあげく
次の再就職の道まで閉ざされてしまう。

彼は離婚していて別居しているが
小さな息子の学校への送り迎えはしている。
元妻の息子を連れたフロリダへの里帰りに
子守りとして彼は同行を頼まれる。
彼は、その地マイアミでキューバ料理の旨さを実感し
屋台トラックで、それを売ることを思いつく。
元妻の元夫(ロバート・ダウニーJr)に
借金をしてトラックを買い付け
元の職場のキューバ人コックも駆けつけ
料理に興味のある息子を手伝いにオープンしたら
何故か、その日から大当たり。

その訳は、SNSを使いこなす息子が
その準備のいきさつや場所を全てTweetしていたから。
そう、此の映画が面白いのは新しいメディアSNSを
ドラマの展開に使って居るところ。
ある意味ではグルメ映画というより
インターネット映画と云うべきだろう。

主人公は料理しかできない男だが
息子からインターネットを学び
その息子に料理とは何かを教え、父と子の絆を取り戻す。
ロスからマイアミ、そしてフード・トラックで
キューバ料理を売りながら此の映画
米国を横断するロード・ムービーでもあるのだ。
更に、私の様な”食と音楽”を愛する者には嬉しいことに
マイアミではサルサ、ヒューストンではソウル
ニューオリンズではケイジャンと、生の音楽を
料理と同じ様にたっぷり聴かせながら。

調べたら此の監督インディ映画出身ながら
「アイアンマン」シリーズを立て続けに2本ヒットさせながら
3本目は此の映画のテーマ同様、自分のやりたい事に戻りたいと
此の作品を作ったとか?
ハリウッドの娯楽映画監督として
楽に暮らせるのに大した度胸と根性である。

それにしても監督自ら調理してると思われる
(手元からのワンカット&パンアップが多い!)
その料理が皆、旨そうなこと!
私は此の映画に三ツ星と言わず、四ツ星あげたい。

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