2017年5月30日火曜日

「座頭市海を渡る」(1966)
シリーズ14作目の此れは海を渡るといっても
座頭市が海外へ行くわけではなくて
さすがに14作目となるとマンネリを避けようと
市が殺した奴の供養に、金毘羅船に乗って四国へ渡るというエピソード。
しかし、そこにも執拗に彼を狙う刺客が追ってきて
土地のヤクザに市の暗殺を頼む。
此の土地のヤクザと云うか野武士みたいな奴を
なんと山形勲が演じ、その貫禄と弓矢で市を圧倒する。
そう、悪役が強いほど、映画は面白い!
何せ山形勲は出演作がカンヌ、ベルリン、ベネツィア3大映画祭
そして米国アカデミー賞と4冠を制覇した名優。
その存在感は映画に厚みさえ感じさせる。
そして此のヤクザに虐められる村の名主が又、名優・三島雅夫。
こいつがズルくて「七人の侍」なら立ち上がるはずの
村人達と結託して、市をたった1人で野武士と戦わせる策略。
此の贅沢なキャスティングに、まだ若かった安田道代が
可憐さと健気さを見せ、殺伐とした話に花を添える。
色といえば脱ぎっぷりも良く、市もつられて脱ぐ。
巧い脚本は新藤兼人。此のひとはTVの「座頭市」にも
結構、脚本を提供していたのは勝新の信頼が厚かったから。
信頼が厚いといえば監督・池広一夫
大映の黄金期に贅沢に育てられているから
会社が傾いても映像のクオリティーが高い。
「十三人の刺客」程では無いにしても
見事な村のオープンセットは美術・西岡善信。
其処に西部劇よろしく馬で襲ってくる野武士達の迫力はなかなか。
出来不出来もあるが”座頭市”は勝新の目の黒いうち
あっ、目はいつも白目だったが、TVも本編も面白い。
コレクションはDVDとブルーレイで一杯だ。

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