リバティ・バランスを射った男(1962年)
ジョン・ウェインが監督ジョン・フォードと
コンビを組んだ西部劇で最後と成る此の作品は
また、彼が初めて脇役を演じた映画でもあった。
主演のジェームス・スチュアートの回想で物語は始まる。
今は州知事にも成り、次期の副大統領候補の彼の
政治家に成る、きっかけを作った過去とは?
西部へ初めて来た彼を襲った駅馬車強盗は
その名をリバティ・バランスと云い、名うての悪党だった。
半殺しにあった彼はリバティを法律で裁くと
息まくが、それをいさめたのは彼の怪我を治療した
食堂の娘と、その彼氏のジョン・ウエイン。
”此処は西部で法は拳銃だ!”と、さとす。
それでも、気が納まらない彼はリバティに決闘を挑む。
それまで習った事も無い拳銃は
リバティに馬鹿にされるだけだったが
何故か命中し、彼は”リバティ・バランスを射った男”として
名を上げ、新しく州に昇格したい土地の人から
州議会議員に推薦される。
此の辺りからネタばれ注意!
その投票日、相手側の議員から”人殺し”は
議員にさせないと反対されて
自ら、議員立候補を取りやめようとした彼の前に
ジョン・ウエインが現れ
”お前は殺していない、実はリバティは俺が射った”と告げる。
自分の恋人が既に主人公に心変わりをしているのに気付き
家に火を点け、自殺までしようとしながら
それでも、主人公がリバティに殺され
彼女の悲しむ顔を見たく無いからと決闘の時
密かにリバティを射ち、主人公を助けたジョン・ウエインは
その秘密を生涯、守ったまま死んで行ったのだ。
何と云う男の美学!ジョン・フォード映画らしいストーリィ。
こんな善い役でジョン・ウエインは
何故アカデミー賞が取れなかったのが、とても不思議だ。
”カクタス・ローズ=サボテンの薔薇”と
ジョン.ウエインに例えられた
恋人役のヴェラ・マイルズの健気な美しさ。
「シェーン」の悪役ジャック・パランスの様に
此の作品でブレークしたリー・マービンの憎々しさ。
そして、やはり此の後70mm「スパルタカス」の黒人奴隷役で
人気の出たウッディ・ストロードのストイックな演技。
それに、飲んだくれ新聞社や弱虫保安官などジョン・フォード一家の
常連傍役たちのアンサンブルの見事さ。
何より主役ジェームス・スチュアートの正義感に無理が無い。
総てが完璧なキャスティングなのだ。
クライマックスの決闘シーンを先に出し
拳銃を射てない筈の彼が何故、早撃ちの名手リバティを
倒せたのか?の謎解きのシナリオ構成が巧い。
モノクロで古い西部を光と影のコントラストで
表現したカメラも懐かしく素晴らしい。
ジョン・フォード晩年の名作と云えるだろう。
<オマケ>
↑ジャケットをクリック
どこかでジーン・ピットニーのヒット曲
”リバティ・バランスを射った男”がかかるのを
待っていたが結局、最後まで出て来なかった。
映画とは関係ない、今で云うイメージ・ソング。
出来が良いのは何とバート・バカラックが作っている!










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