2016年6月11日土曜日

ザ・ビーチ (2000)
映画「トレイン・スポッティング」(1996)で
英国映画史上最も興行収入をあげた監督ダニー・ボイルが
「タイタニック」のレオナルド・デカプリオを主人公に
”楽園”をテーマに描いた作品である。
此の映画で”楽園”とは”ビーチ”を意味する。
白い砂に蒼い海、それなら観光地に幾らでもあるが
外界から閉ざされたアジアの、とある島。
島の中央には大麻が見渡す限り生え茂り
それを吸ってハイになり日がな毎日暮らせるという。
その島=ビーチの在処が書かれた手描きの地図を
主人公はタイのホテルで隣りの客から貰う。
此の怪しげな客をロバート・カーライルが演じる。
(彼は「トレイン・・・」でも麻薬中毒の危ない男を演じたが)
主人公に強い印象を残して翌日、自殺してしまう。
それに好奇心を抱いた主人公が
フランス人のカップルを誘って何とかビーチに辿り着く。
そこで彼が見たのは人々が自給自足で暮らすまさに理想郷。
所謂、60年代のヒッピー・カルチャーの共同体を再現させたものである。
それは現代アメリカの自由を満喫しつつも、何か物足りなさを
感じて旅に出た主人公を充分に満足させるものであった。
此の共同体を仕切っているリーダーは女性、名はサル。
此れを名女優ティルダ・ウィンストンが演じる。
「エドワードⅡ」でヴェツィア映画祭女優賞をとって以来
ハリウッドに進出した売れっ子の”怪優”でもある彼女だが
此の作品でもデカプリオとの激しいセックス・シーンに
その魅力は遺憾なく発揮されている。
島で大麻を栽培しているのは現地タイの原住民。
非合法だから此の島の在処は秘密
だから島に人が増えるのは禁止されているのだ。

ところが、島に来る前、彼が残して来た地図を頼りに
また、新しい男女が島に来て島の秩序が乱れ始める。
リーダーにその責任を迫られた主人公は、不安から
大麻の過剰摂取により、ホテルで自殺した男と同様に精神錯乱
・・・と「トレイン・・・」の監督らしい
シュールでダイナミックな幻覚映像が見られる。
ここからネタバレ
新しく島に来た男女は原住民に撃ち殺され
主人公も、その男女に地図を渡した責任を問われ
女リーダーに処刑されそうに成るが
既に理想郷とは呼べなく成った此の”ビーチ”から
仲間は皆、去って行ったという結末。
此の頃は、まだ少年の面影を残すデカプリオ。
ヒットした「タイタニック」の後、100本のオファーを蹴って
此の作品を選んだと言う彼らしいラストに成っている。
しかし”楽園”と言うには余りにも、ビター(苦い)な
映画の展開は世界的アイドル・デカプリオに似合わないと
此の映画、興行的にも大失敗という結果が出ている。
しかし私には、監督ダニー・ボイルの作品として
後に「スラムドッグ$クイズミリオネヤ」が、アカデミー作品賞と
世界中の映画祭の賞を総なめにし
ロンドン・オリンピックの開会式の演出まで任された
彼の演出力が見事に出ているのでは無いか?と高得点。
特に当時、最先端のミュージシャンの曲を
網羅したサウンド・トラックも秀逸。

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